
NFTの注目ポイントは?
IFTA認定のアナリストで、株や暗号資産(仮想通貨)、FXの投資家としても活躍し、ヘッジファンドとも交流の深い「天空の狐」さんが、注目ニュースと共に、ビットコイン市場について解説する。
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ビットコイン円は、1ビットコイン=600万円を超え、上昇の勢いは少し落ち着いているものの、底堅さを感じられるため、引き続き上昇展開をイメージしている。ビットコインなどの仮想通貨市場とは異なるが、いまNFTの市場にも期待を寄せている。
ノンファンジブルトークン(NFT)の将来性
3月17日、スクウェア・エニックスが提供するゲームにてノンファンジブルトークン(NFT)アイテムを発売すると発表。3月18日にはマネックスグループ傘下の仮想通貨交換業コインチェックもNFTのサービス開始を発表。コインチェックではユーザーによるNFTの出品、仮想通貨での購入が可能となる。
NFTとは?
NFTとは代替不可能なトークンのこと。ブロックチェーン技術を用いて発行されるため、所有者を特定・証明することも可能で、複製不可の仕様となる。購入者情報と共に、どんな人の手に渡ってきたのか、使用履歴などがブロックチェーンに記録され保護される。名画の所有権などはNFTと紐づいていれば、ブロックチェーンを調べることでオリジナルかどうか辿りやすくなるだろう。
NFTと相性の良い市場
デジタルアートはデジタル空間で作品を出品、展示、オークション取引まで可能で、昨今のオンラインゲームでもデジタルアイテム、ゲーム内でのアイテムがデジタル上でやり取り、収集が完結する場合もある。トレーディングカードもデジタル発行、販売、交換ができるなど、アートやゲームとの親和性が高い技術と考えられる。こうしたデジタルを活用した既存の市場はNFTとも相性が良いと思われ、ビットコインなどとは異なるブロックチェーン技術の新たな活用方法が盛んになると考えている。
NFTはビットコインなどの仮想通貨と異なり決済機能がないため、流通市場は限定される。「経済的機能がないため、仮想通貨には該当しない」と、金融庁からのパブリックコメントも。
NFTの懸念点
NFTの流行に期待を寄せつつも、懸念点はいくつかある。NFTが多く誕生すれば、モラルハザードを起こし、経済的機能・支払い手段を持たせるなど悪用する業者が現れる可能性も。また、利用者が多くなると、ハッカー攻撃も考えられる。仮想通貨ブームに冷や水を浴びせたのも、取引所へのハッキング事件であった。NFTを扱う業者の開発メンバーなどに金融リテラシーがあるかどうかも確認したほうがいいと考えている。政府、業界団体などから、ユーザー保護のルールを作る方向が生まれれば、NFTは新しい市場として軌道に乗ると思われる。
ビットコイン円の直近見通し
ビットコイン円は1ビットコイン=600万円台に到達し歴史高値更新、回帰分析では強気範囲(1ビットコイン=530~600万円台)で価格推移。直近は停滞しながら中長期で上昇基調を予想。テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が上回り、短中期のMAはゴールデンクロスで、買いシグナルが点灯。一方、オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は60付近推移で低下傾向、価格は上昇の逆行現象から売りシグナル、継続的上昇のシグナルの2つが出ていると判断。
テクニカル分析では、メインシナリオは強気の上昇基調。1ビットコイン=500~600万円台で目先は足場を固め、1ビットコイン=680万円台、700万円台、750万円台に向かって、上昇するとも分析できる(上昇の価格目安はフィボナッチ分析などから判断)
カウンターシナリオとして下落する可能性も想定。1ビットコイン=440万円台を割り込み下落が加速するなら、600万台の半値戻し300万円台まで崩落する弱気シナリオも一考するといいだろう。
グローバルマーケットは株価堅調に推移し、ビットコインとドル相関が崩れだし、ビットコインが独立独歩の値動きを見せることになると思われる。
【PROFILE】天空の狐:IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。オルタナティブ投資のメディア「ALTS Investor Media」でもマーケットレポートを配信中。Twitter:@firmamentfox