
ビットコインは弱気な展開が続く
IFTA認定のアナリストで、株や暗号資産(仮想通貨)、FXの投資家としても活躍し、ヘッジファンドとも交流の深い「天空の狐」さんが、注目ニュースと共に、ビットコイン市場について解説する。
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ビットコインは1ビットコイン=400万円を割った状態が続き、弱気な基調は変わらない。仮想通貨市場が盛り上がるためには新たなきっかけが欲しいところ。今回は今後さらなる注目を集めるかもしれない仮想通貨を紹介する。
非中央集権型の情報管理を目指すプロジェクト
仮想通貨ポルカドット(DOT)が国内でも取引可能となった。ポルカドットは複数のブロックチェーンによる相互接続などで、中央集権型とは対照的な分散型のウェブ社会を目指すプロジェクト。DOTはそこで使用されるトークンでもある。7月13日にはディーカレットで仮想通貨オントロジー(ONT)の取り扱いを開始すると発表。オントロジーもデータ分散管理に特化したブロックチェーンである。
こうした新しいコンセプトの仮想通貨が普及するには利用者がスムーズに利用できるどうかのスピードと、既存市場との連携が重要となるだろう。
ポルカドットは、パラチェーンと呼ばれる複数のブロックチェーンを相互運用することで、データ処理のスピード向上にもつながるだろう。また情報の管理を非中央集権型にすることで、情報はひとつの企業が管理する体系から個人で管理されるシステムに移り変わっていくことにも期待できる。ただし、既存のウェブ市場から分散型のデータ管理社会に移行するためには様々なハードルがあり、それらをどう解消していくかには課題が残る。
オントロジーは新しいデータベース管理として期待される。厳重なデータ保守が目的だろう。今後はビジネス市場で利用が促進されれば市場規模は大きく有望と評価されるだろうが、こちらも既存市場からの移行がカギとなるだろう。
ビットコイン円の直近見通し
ビットコイン円は、回帰分析では弱気範囲(1ビットコイン=350~400万円近辺)で価格推移。短期的に下落基調、中長期で上昇基調を予想しているが、テクニカル分析では、移動平均MA21を価格が下回り、短中期のMAはデスクロスの手前で売りシグナルが点灯。オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は40付近で推移し、スローストキャスティクスは12付近で推移と、オシレーター系でも売りシグナルが続いている。
これらのテクニカル分析から、目先は弱気シナリオがメイン。直近は1ビットコイン=300~400万円台のBOXで価格が推移すると思われ、そこで足場を固める可能性もある。しかし、フィボナッチ分析などから示唆される「下落の目途1ビットコイン=340万円台」を割り込む状態が続けば、1ビットコイン=200万円台に向けた動きも想定する必要があるだろう。
1ビットコイン=470万円台を超えてこないと、1ビットコイン=520~630万円台へと反発していく強気の展開は期待しづらいだろう。
主要中央銀行のテーパリングに関する議論が活発化しており、グローバルマーケットで局面は大きな変化を迎えようとしている。ドルは長期的にBOXで展開する見通しで、ヘッジファンドなどのビッグプレイヤーはどこに資産を向けようか関心がコロコロ変わっているようにも見受けられる。現状、ビットコインへの大きな資産流入は期待しづらいだろう。8月を迎えれば夏枯れ相場も強く意識され、市場の流動性が大きく減少するかもしれないので、注意が必要だ。当面は無理なトレードは避け、上半期を振り返り、下半期への投資戦略を見直すかたちがいいだろう。
【PROFILE】天空の狐:IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。オルタナティブ投資のメディア「ALTS Investor Media」でもマーケットレポートを配信中。Twitter:@firmamentfox