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DeFi提供企業で約660億円相当の仮想通貨流出 ビットコインの今後の見通しは?

過去最大規模のハッキング被害が起きてもビットコインは堅調

過去最大規模のハッキング被害が起きてもビットコインは堅調

 IFTA認定のアナリストで、株や暗号資産(仮想通貨)、FXの投資家としても活躍し、ヘッジファンドとも交流の深い「天空の狐」さんが、注目ニュースと共に、ビットコイン市場について解説する。

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 8月には仮想通貨市場で過去最大規模のハッキング被害が発生。ビットコイン相場にも影響が出るかと思われたが、価格は先月下旬からの底堅い上昇を維持している。

新時代技術の開発/サービス運営には課題が山積

 8月10日、DeFi(分散型金融)のサービスを手掛けるポリ・ネットワークから約660億円相当の仮想通貨が流出。業界では過去最大規模の流出事件となり、このときステーブルコインの「テザー」も流出したため、テザー社も対応に追われた。12日には犯人と思われるハッカーから不正流出したほぼ全額が返金されたため、犯人の目的は「自分の技術を誇示するため」などと見られている。

 DeFiは主にイーサリアムのブロックチェーン上でスマートコントラクト技術を応用することで実現する。特徴は利用者同士の取引が自動化されることで、中間業者がなく、中央集権的に管理コストも発生しないため、手数料を既存の金融システムより格安にできると期待されている。被害にあったポリ・ネットワークは複数の仮想通貨を取引できるプラットフォーム「ブリッジ」を提供していたが、ブロックチェーンの接続部分がハッキングされたことが原因であるという指摘も。

 DeFiから生まれるサービスの中には、仮想通貨の取引だけではなく、お金の貸付や利子を得る新たな手段としての期待もあった。将来、有望な市場であることは間違いないだろうが、今回の事件から新時代技術の開発/サービス運営には課題が山積しており、これら関連企業へ投資するには時期尚早であると感じた一件であった。

ビットコイン円の直近見通し

 ビットコイン円は、回帰分析では強気範囲(1ビットコイン=400~500万円台)で価格推移。先月の弱気から一転、上昇反発の展開を見せ、テクニカル分析では、MA21から買いシグナルが点灯。オシレーター系のクラシックRSI(相対力指数)は60付近で推移し、50ラインを超えており、こちらでも買いシグナルが。

 その他テクニカル分析の動向も踏まえ、今後の展開予想をまとめると、強気のメインシナリオは上昇基調といえる。直近は1ビットコイン=400~500万円台で足場を固め、1ビットコイン=600万円台へ向かうという展開も考えられるだろう。

 ただし弱気になるケース「カウンターシナリオ」も想定しておこう。上昇反発していた勢いが弱まり、1ビットコイン=470万円台を下回る展開になると、1ビットコイン=300~400万円台へ下落が加速する可能性も十分考えられるため、注意を怠らないようにしたい。

 グローバルマーケットを見渡すと、テーパリング相場の様相を呈しており、株高・ドル高・ゴールド安が顕著で、市場参加者の姿勢も見えやすくなった。仮想通貨市場の上昇は他市場のボラティリティ増加も影響しているので、ドルが継続的に上昇するなら、ビットコインやアルトコインも連れ高になっていくと予想できる。

※「天空の狐」のコラム一覧はこちらより

【PROFILE】天空の狐:IFTA国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト、ESTA名誉会員(日本人で唯一)、ヘンリー・ビジネス・スクール ヘッジファンドプログラム修了。PythonMT4・MT5自動売買&裁量Aiトレーダー。ドイツ企業INTALUS.日本代表を経て、ドイツ金融アルゴリズムTradesignal日本代表に。テクニカル分析やアルゴリズム・ストラテジー開発。ヘンリー・ビジネス・スクールヘッジファンド・プログラムのアドバイザーを従事。オルタナティブ投資のメディア「ALTS Investor Media」でもマーケットレポートを配信中。Twitter:@firmamentfox