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マンション売却を成功させるには?【徹底解説】

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マンション売却で知っておきたい23の注意点!失敗を防ぐ対策とは?

高価な財産であるマンション売却では、失敗はぜひとも避けたいところです。マンション売却の失敗を防ぐには、事前に失敗と対策を知っておくことがコツとなります。

この記事では「マンション売却の注意点」について解説します。売却の流れに沿って、注意すべきポイントを紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.売却に必要な書類を確認せずにスタートしてしまう

マンション売却では、売却に必要な書類を確認せずにスタートしてしまうという失敗があります。売却にはどのような書類が必要か、事前に知っておくことが必要です。

マンション売却に必要な書類は下表の通りです。

書類の目的 書類名
引渡時に司法書士へ渡す書類(必須)
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
  • 印鑑証明書(引渡時の3ヶ月以内に発行のもの)
  • 固定資産税評価証明書
  • 住民票
  • 本人確認書類(免許証等)
  • 委任状(司法書士への委任のため)
  • 抵当権の抹消に必要な書類(売主側の銀行担当者が持参)
引渡時に買主へ渡す書類(基本的には任意)
  • 分譲時のパンフレット
  • 管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等
  • 管理費・修繕積立金の額の確認書等
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書
  • 設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書
確定申告で税務署に提出する書類(必須)
  • 除票住民票
  • 売ったときの売買契約書の写し
  • 買ったときの売買契約書の写し
  • 媒介報酬や印紙代などの金額が分かる書類
  • 税金特例を利用する場合には各特例で定められた書類

特に、「登記済証(権利証)または登記識別情報通知書」は所有権移転登記に必要なために必須の書類です。

任意の書類は最悪なくても売却はできますが、必須書類がない場合には早めに不動産会社に相談するようにしましょう。

2.余裕のないスケジュールで売却しようとする

マンション売却は余裕のないスケジュールで売却しようとするという失敗もあります。

マンション売却の流れは下図の通りです。

マンション売却の流れ

マンション売却では、価格査定から引渡までに5~6ヶ月程度はかかります。特に、売却活動の開始から売買契約の締結までが時間を要し、3ヶ月程度は必要です。

マンション売却はスケジュールにゆとりがないと、売り急ぐことになり、安く売る結果となります。適正価格で売るには、6ヶ月程度の余裕を持ったスケジュールを組むことがポイントです。

3.タイミングを逃してしまう

マンション売却ではタイミングを逃してしまうという失敗もあります。

マンションは、築年数や季節、市況のそれぞれにおいて売却しやすい時期が存在します。売却に適したタイミングは下表の通りです。

時期 適切なタイミング 理由
築年数 築25年以内 築25年以内のマンションは買主が住宅ローン控除を利用できるため、売却しやすくなります。
季節 毎年2~3月 4月の引っ越しシーズンの直前である2~3月に引渡の時期を合わせると売却しやすくなります。
市況 住宅ローンが低金利の時期 昨今のような住宅ローンが低金利の時期は、買主が住宅ローンを組みやすいため、売却しやすくなります。

4.不動産会社に相談せずにリフォームしてしまう

不動産会社に相談せずにリフォームしてしまうという失敗もあります。

マンション売却では、基本的にリフォームは不要です。理由としては、投じたリフォーム費用を売却額で回収できないことが多いからです。

例えば、リフォームせずに売ると3,000万円のマンションがあるとします。そのマンションを500万円かけてリフォームした場合、3,500万円以上で売れるかというとそうはならず、結果的に3,300万円程度でしか売れないことがよくあります。

マンション売却ではリフォームすることで売主が損をすることが多いです。そのため、リフォームすべきかどうか迷っている場合は、必ずリフォーム前の状態で不動産会社に見てもらい判断することをおすすめします。

リフォームした方が良いと助言されたときは、リフォーム費用を回収できるかも確認することがポイントです。

5.買い替えのテクニックを知らないまま住み替え計画を立ててしまう

買い替えのテクニックを知らないまま住み替え計画を立ててしまうという失敗もあります。買い替えは売却と購入を同時に行うことが必要であり、タイミング調整が難しいです。

そこで、買い替えではスムーズに住み替えをするために、以下のようなテクニックが存在します。

住み替え対策 内容
ダブルローン 売却物件の住宅ローンを返済しながら、購入物件の住宅ローンを組めるローンのことです。ダブルローンを利用すれば、先に物件を購入して空き家にした状態で物件を売却することができます。
住み替えローン 売却物件で返済しきれなかったローン残債を購入物件の住宅ローンに上乗せして借りることができるローンのことです。住宅ローン残債が売却額を上回ってしまうときでも、不動産を売却することができます。
つなぎ融資 先に売却してから購入をする住み替えにおいて、購入物件の代金支払いが売却物件の代金入金よりも先になってしまった場合に、立て替えができるローンのことです。売却と購入のタイミングが想定外にずれたとしても住み替えを行うことができます。
買い替え特約 購入物件の売買契約書において「期日までに売却できないときは購入の契約を解除する」と定める特約のことです。買い替え特約を利用すれば、先に物件を購入でき、期日までに売却物件を売ることに専念できます。

例えば、ダブルローンを用いれば、空き家の状態にして売ることができるため、売却しやすくなります。部屋の写真も多く載せられますし、内覧(購入希望者に家の中を見せる販売行為)の対応も不動産会社に任せることができます。

買い替えをする人は、上記のテクニックを知ったうえで、住み替え計画を立てるようにしましょう。

6.相場を調べずに査定を依頼してしまう

マンション売却では、相場を調べずに査定を依頼してしまうという失敗もあります。相場を知らずにいきなり査定を依頼してしまうと、査定結果が高過ぎるか安過ぎるかの判断をすることができません。

適正な査定額なのかを判断するには、自分でもある程度相場を知っておくことが必要です。

中古マンションの相場は、レインズ・マーケット・インフォメーションで調べることができます。

REINS(レインズ) Market Information
REINS(レインズ) Market Information

安過ぎる査定価格で売り出すと損をしますし、高過ぎる査定価格で売り出すといつまでも売れなくなります。提示された査定価格の妥当性を見極めるためにも、査定前に相場は必ず調べることがポイントです。

7.住宅ローンの残額を把握せずに査定を依頼してしまう

マンション売却では、住宅ローンの残額を把握せずに査定を依頼してしまうという失敗もあります。

住宅ローン残債が売却額を上回ることを「オーバーローン」、住宅ローン残債が売却額を下回ることを「アンダーローン」と呼びます。

住宅ローンが残っている物件は売却額によって住宅ローンを一括返済しますので、アンダーローンの場合には特に問題ありません。一方で、オーバーローンである場合、貯金等を加えて返済できない限り、原則として売却はできないことになります。

売却できるかどうかの決め手となりますので、住宅ローンの残額は査定前に必ず正確に把握するようにしましょう。

8.多過ぎる会社に査定を依頼してしまう

多過ぎる会社に査定を依頼してしまう

マンション売却では、多過ぎる会社に査定を依頼してしまうという失敗があります。

査定の依頼は不動産一括査定サイトが便利です。多くの不動産一括査定サイトは、4~6社程度の不動産会社に同時に査定依頼をすることができます。

査定依頼社数としては、4~6社で十分です。それ以上に依頼してしまうと、各社への対応も増え、収拾がつかなくなりますので、査定の依頼先を広げ過ぎないことがポイントです。

9.安易に高い査定価格の不動産会社を選んでしまう

複数の不動産会社に査定を依頼したときに、安易に高い査定価格の不動産会社を選んでしまうという失敗もあります。

査定価格はあくまでも売却予想価格であり、売却を確約する価格ではありません。

不動産会社の中には、媒介契約(仲介の契約のこと)を取りたいがために、わざと高い査定価格を提示してくる会社もあります。高い査定価格の会社に依頼すると、なかなか売れず、後から値下げを要求されるのがオチです。

不動産会社は査定価格だけでなく、「親切な対応をしてくれる」、「適切なアドバイスをくれる」等も重視して選ぶと満足いく売却をすることができます。

10.媒介契約の種類と特徴を知らずに契約してしまう

マンション売却では、媒介契約の種類と特徴を知らずに契約してしまうという失敗もあります。

仲介の契約である媒介契約には、「一般媒介契約」と「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれの特徴は下表の通りです。

特徴 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
他業者への依頼 重ねて依頼ができる 重ねての依頼ができない 重ねての依頼ができない
自己発見取引(売主が自ら買主を見つけてくること) 認められる 認められる 認められない

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約です。

専任媒介契約または専属専任媒介契約(以下、「専任媒介等」と略)は1社の不動産会社にしか売却を依頼できない契約になります。

一般媒介契約は、複数の不動産会社に売却を依頼できるため、早く売ることができます。相続したマンションや離婚でマンションを売る場合等、単純売却だけの場合は早く売れる一般媒介にメリットがあります。

一方で、専任媒介等は依頼できる不動産会社が1社となるため、スケジュール調整がしやすくなります。買い替えのように売却と購入のタイミングを調整しなければならない場合には、不動産会社は1社だけにした方が売却しやすいです。

よって、一般的には「単純売却なら一般媒介」、「買い替えなら専任媒介等」を選ぶのが適切となります。

11.不動産会社へ十分に希望を伝えないままスタートしてしまう

不動産会社へ十分に希望を伝えないままスタートしてしまうという失敗もあります。

「打ち合わせは19:00以降にしたい」「連絡はLINEのグループで取り合いたい」「土曜日は内覧を入れて欲しくない」等の些細な希望は最初に伝えるべきです。売却期間は5~6ヶ月ほど続きますので、希望を伝えておかないとストレスが溜まります。

たまに、相手が素人だと思って高圧的な態度を取る営業担当者もいますが、そのような不動産会社は選ぶべきではありません。ストレスなく売却をするためにも、親切で話しやすい営業担当者を選ぶようにしましょう。

12.囲い込みを受けてしまう

マンション売却では、囲い込みを受けてしまうという失敗があります。

囲い込みとは、売却依頼を受けた不動産会社が両手仲介にこだわり、他社からの買主のあっせんを拒絶することです。囲い込みは1社にしか仲介を依頼できない専任媒介等で起こる可能性があります。

不動産の仲介には、両手仲介と片手仲介の2種類が存在します。両手仲介とは売却を依頼した不動産会社が買主を見つけてくる仲介のことで、片手仲介とは売却を依頼した不動産会社と買主を見つけてくる不動産会社が別々になる仲介のことです。

両手仲介だと、不動産会社は売主からも買主からも仲介手数料を受領できるため、売上が2倍になります。片手仲介だと売上が半分となります。そこで、他社からの買主のあっせんを断わり、時間をかけてでも自社で買主を見つけようとする行為が囲い込みなのです。

囲い込みを防ぐには、レインズの取引状況管理機能で取引状況を確認することが効果的です。レインズとは全国の不動産会社だけがアクセスできる物件情報データベースになります。

レインズの仕組み

専任媒介等では、不動産会社がレインズへの物件情報を登録する義務があります。レインズに登録されている物件が、他社に公開されていれば他社が買主をあっせんできる状態であるため、囲い込みを防ぐことができます。

専任媒介等で依頼すると、不動産会社からレインズで一般の人でも物件の公開状況だけを確認できる機能(取引状況管理機能)のIDとパスワードが渡されます。取引状況には、「公開中」と「書面による購入申込あり」、「売主都合で一時紹介停止中」の3つがあり、「公開中」となっていれば囲い込まれていない状況ですので大丈夫です。

一方で、「公開中」以外の場合には、囲い込まれている可能性があります。専任媒介等で依頼した場合には、情報公開の状況をマメにチェックすることが大切です。

13.高過ぎる売り出し価格を設定してしまう

高過ぎる売り出し価格を設定してしまうと売却できなくなってしまいます。売り出し価格を高くし過ぎてしまう原因は、高過ぎる査定価格を採用しているケースが多いです。

ただし、高過ぎる査定価格は複数の不動産会社に査定を依頼することで見分けることができます。

例えば、A社が5,000万円、B社が4,400万円、C社が4,500万円、D社が4,450万円で査定してきたような場合、明らかにA社の査定価格が高過ぎるとわかります。A社は単に媒介契約を取りたいだけの可能性があるため、A社への依頼は避けるべきです。

複数の不動産会社に査定を依頼することは、適正価格を知ることにもなりますので、査定は必ず複数の不動産会社から取るようにしましょう。

14.全部屋の写真が撮れない状態で広告を開始してしまう

全部屋の写真が撮れない状態で広告を開始してしまうことも失敗の一つです。

購入希望者は、インターネットの物件広告で物件の写真を求めています。以下に「物件情報入手のときにあると便利な情報」のアンケート結果を示します。

物件情報入手のときにあると便利な情報

出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「不動産の日アンケート(2021年1月)

広告の写真は多くあるほど、購入希望者が真剣に検討してくれるようになります。特に住みながら売る場合には、全部屋の写真が撮れる準備をして多くの写真を載せることをおすすめします。

15.内覧の準備が不十分のまま販売活動を開始してしまう

内覧の準備が不十分のまま販売活動を開始してしまう

内覧の準備が不十分のまま販売活動を開始してしまうという失敗もあります。

内覧で家の中が汚いと、購入希望者にマイナスの印象を与えますので、購入に結びつかないことが多いです。そのため、内覧前には家をきれいに見せるための準備を行う必要があります。

内覧の準備には、以下のものがあります。

【内覧の準備】

  • 無駄なものを捨てる
  • 荷物を実家やトランクルームに一時的に預ける
  • 家の中を大掃除する
  • 水回りだけハウスクリーニングを利用する
  • 全部屋見ることができる状態にしておく

家をきれいに見せる最大のコツは、家財道具等の「もの」を極力減らすということです。「無駄なものを捨てる」や「荷物を実家やトランクルームに一時的に預ける」がという準備が効果的な対策になります。

「もの」が溢れかえっている家は、生活感や雑多感が出てくるため、家の印象が悪くなります。掃除よりも「もの」を減らすことの方が効果は高いため、まずは内覧に向けて極力「もの」を減らすようにしましょう。

16.不動産会社と積極的にコミュニケーションを取ろうとしない

不動産会社と積極的にコミュニケーションを取ろうとしない

マンション売却では、不動産会社と積極的にコミュニケーションを取ろうとしないと放置されるという失敗に繋がります。

不動産会社の中には、最初のうちは購入希望者を内覧にたくさん連れてくるのに、途中からぱったりと購入希望者を連れてこなくなる担当者もいます。

営業担当者も複数の案件を抱えており、ノルマもあるため、簡単に売却できて成績を残しやすい案件に注力しがちです。営業担当者に売却しにくい物件と思われると、途中から手を抜かれてしまうこともあります。

ただし、営業担当者も人間ですので、売主から頻繁に連絡が来るような案件に対しては、意識が離れていくようなことはありません。マンション売却では不動産会社に任せきりにせず、売主からも積極的に状況確認をすることで放置を防ぎ、満足いく売却ができるようになるのです。

17.売却に要する費用を把握していない

マンション売却では、売却に要する費用を把握していないという失敗もあります。マンション売却で発生する費用と支払い時期は下表の通りです。

費用項目 費用の相場 支払い時期
仲介手数料 売却価格が400万円超なら「売買価格の3%+6万円」。200万円超400万円以下なら「売買価格の4%+2万円」。200万円以下なら「売買価格の5%」。 売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うのが一般的
印紙税 売却価格が1,000万円超5,000万円以下なら1万円。5,000万円超1億円以下なら3万円。 売買契約時
登録免許税 抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1千円。土地1筆、建物1棟なら不動産2個なので2千円。 引渡時
司法書士費用 抵当権抹消登記:1.5万円前後。 引渡時
繰上返済手数料 都市銀行なら1万円程度。 引渡時
引っ越し代 3人家族で500km未満の引っ越しであれば15万円、繁忙期(2月~4月)は20万円程度となる。 売買契約から引渡の間

マンション売却費用の中で最も金額が大きなものは仲介手数料となります。仲介手数料は、売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うことが一般的です。

例えば、3,500万円でマンションを売った場合、仲介手数料は111万円(=3,500万円×3%+6万円)となります。売買契約時に50%分の55.5万円を用意しておかなければならないため、結構大きな金額です。

その他、売買契約時には印紙代も発生します。売買契約時は、まだ買主からのお金の入金がない状態ですので、少なくとも「仲介手数料の半額と印紙代」は用意しておくことが必要となります。

18.不具合を正直に告知せずに売ってしまう

不具合を正直に告知せずに売ってしまう

マンション売却では、売主が値引きを恐れ、不具合を正直に告知せずに売ってしまうという失敗があります。

マンションの売主は、知っている不具合を隠したまま売ると、売却後、買主から契約不適合責任と呼ばれる売主責任を問われます。

契約不適合責任とは、「契約の内容に適合しない場合の売主の責任」のこと。契約内容と異なるものを売ったとき、売却後、買主から修繕や損害賠償、契約解除等を追及されてしまう責任のことです。以前は、瑕疵(かし)担保責任というものがありましたが、2020年4月の民法改正によって売主責任は瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わりました。

不具合がある場合、その不具合を正直に告知し、買主に了承を得ている限り、契約不適合責任を問われることはありません。しかしながら、不具合を隠したまま売却したときは、契約内容とは異なる物件を売却したとみなされ、契約不適合責任を問われることになります。

万が一、売却後に契約解除になってしまえば、売買代金の返金を迫られます。そのため、契約不適合責任を問われるような失敗は、避けなければいけない事態なのです。

マンション売却では、不動産会社から「付帯設備表」と「告知書」の記載を求められます。付帯設備表とは、主にキッチンやインターホン等の住宅設備の不具合を記載する書面です。告知書とは、設備以外の不具合について記載する書面を指します。

契約不適合責任を問われないようにするには、まずは「付帯設備表」と「告知書」に正直に不具合を記載することが対策となります。

19.売買契約書の確認が不十分である

マンション売却では、売買契約書の確認が不十分であるという失敗もあります。

契約不適合責任は、契約内容と異なるものを売ったときに問われる責任です。つまり、最終的には契約書に告知した不具合が記載されているかどうかが決め手となります。

売買契約書には、「告知書」で伝えた不具合が容認事項という形で契約書の末尾に列記されます。容認事項とは、買主に物件の状態を容認してもらうために記載する内容です。

例えば、窓サッシから雨水が浸入するという不具合がある物件の場合、容認事項として以下のような内容を記載しておきます。

【容認事項の記載例】

本件物件の主寝室の窓サッシからは雨水浸入の可能性はあるが、買主はそれを容認の上、本契約の売買代金で購入するものであり、買主は売主に対して一切の追完請求、代金減額請求、解除、損害賠償、錯誤取消等の責任を求めないものとする。

告知書で伝えた不具合が、売買契約書に容認事項として反映されていれば問題はありません。しかしながら、告知書で告知したにもかかわらず、売買契約書に記載漏れがあると契約内容とは異なるものを売却したことになり、契約不適合責任を問われる可能性が生じます。

そのため、売買契約書では、告知した内容がしっかり売買契約書に反映されているかどうかを確認することがポイントです。

通常、売買契約書に署名押印する前に、内容を事前確認する機会がありますので、落ち着いてしっかりとチェックするようにしてください。

20.手付金を使い込んでしまう

マンション売却では手付金を使い込んでしまうという失敗があります。

手付金とは、売買契約時に買主から受領する金銭のことです。手付金は契約を証拠立てる意味合いを持ち、売買代金の10%程度の金額が相場となっています。

手付金を使い込んでしまう典型例としては、住み替えをする場合に買主から受け取った手付金を自分が購入する物件の手付金に充ててしまうケースがあります。

手付金は、無事引渡まで終了すれば売買代金の一部に充当されますので、トラブルが何もなければ売主が手付金を使い込んでしまっても特に問題はないといえます。

しかしながら、売買契約後、買主が住宅ローンの本審査に通らず契約を解除することとなった場合、売主は受け取っていた手付金を買主に返さなければいけないことになっています。本審査が通らずに契約解除となったときに、すでに手付金を使ってしまっていると手付金を返還できないという事態が生じます。

手付金は、売買代金の10%程度ですので、例えば3,500万円の物件を売った場合、350万円にもなる大きな金額です。このような大きな金額は、手元にないとすぐに返せない人も多いと思われます。

手付金の失敗を防ぐには、1つには「住宅ローンの本審査に通らなさそうな人とは契約しない」という対策が効果的です。

具体的には、売買契約を締結する前に銀行の仮審査を受けてもらい、仮審査に通っている人のみと契約を行います。仮審査に通っている人であれば、本審査にも通る可能性が高いため、住宅ローンの審査に通らないことによる契約解除の可能性を低くなります。

また、「手付金には手を付けない」というのも確実な対策です。

通常、住宅ローンの審査に通らないことで契約解除できる期間は、売買契約から2週間程度と期限が定められています。この2週間の間だけ、手付金に手を付けなければ、手付金を返還しなければならないリスクをやり過ごすことができます。

契約解除ができる期限は売買契約書の中で定められていますので、しっかりと確認するようにしましょう。

21.残すべき設備を外してしまう

マンション売却では、残すべき設備を外してしまうという失敗もあります。

本来、エアコンや温水洗浄便座は「動産」ですので、売却対象の「不動産」ではありません。ただし、買主が了承すれば、エアコン等の設備を残して売ることもできます。

典型的な失敗例としては、買主との間でエアコンを残すことになっているにもかかわらず、引っ越し会社が間違ってエアコンを外してしまうというケースです。残すべき設備がある場合は、引っ越し会社にしっかりと残すべきものを伝えておく必要があります。

引っ越し前は買主との取り決めを思い出し、残すべきものと外すべきものを再確認するようにしてください。

22.購入当時の売買契約書を紛失してしまう

マンション売却では、購入当時の売買契約書を紛失してしまう失敗もあります。

不動産の売却では、売った不動産の購入額がわからないと税金が高くなってしまいます。高額な税金を支払わないようにするには、購入当時の売買契約書の写しを残しておくことが必要です。

マンションの売却では、譲渡所得(売却益のこと)が発生した場合、税金が生じます。譲渡所得の求め方は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

※譲渡価額:売却価額、取得費:土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額、譲渡費用:仲介手数料や印紙税など、売却に直接要した費用

税金は求められた譲渡所得に税率を乗じて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は売却した不動産の所有期間によって下表のように定められています。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

ここで、取得費については、購入時に売買契約書によって求めることになります。ただし、契約書がない場合、概算取得費と呼ばれるものを用います。

概算取得費とは、「譲渡価額×5%」で求められるものです。

概算取得費を用いてしまうと、譲渡所得が大きく計算されるため、税金も増えてしまいます。よって、購入当時の売買契約書は節税のために最も重要な書類になります。

不動産の売却で税金を納めるための確定申告は、売却した翌年の2/16~3/15までの間に行います。確定申告では購入当時の売買契約書の写しを提出する必要がありますので、捨てずにしっかりと保管しておきましょう。

23.税金の特例に関する知識が不十分である

マンション売却では、税金の特例に関する知識が不十分であるという失敗もあります。

マイホームのマンションは居住用財産と呼ばれ、居住用財産の売却では5つの特例が用意されています。

【居住用財産(マイホーム)を売却したときの特例】

節税できる特例:譲渡所得がプラスのときに利用する
  • 3,000万円特別控除
  • 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買換え特例
税金の還付を受けられる特例:譲渡所得がマイナスのときに利用する
  • 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

上記の特例のうち、譲渡所得がプラスのときに利用する特例は節税を可能にしてくれる特例です。ただし、売却で節税できる特例は、購入物件で住宅ローン控除を利用する場合、住宅ローン控除と同時に併用することができないことになっています。

そのため、特例を使えば売却時に税金はかからないと思っていたとしても、住み替えにおいて購入物件で住宅ローン控除を利用するために、売却の税金が発生してしまったということがよくあります。

税金の特例は要件が複雑なため、勘違いしてしまうことも多いです。特に買い替えをする人は、それぞれの特例の併用の可否について調べておくことがポイントです。

まとめ

以上、マンション売却の注意点について解説してきました。

今回紹介した注意点は売却の流れに沿って紹介しています。売却の手順が進んだら、再度読み直し、失敗を避けながらマンション売却を成功させましょう。

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