秋山博康 刑事バカ一代

元徳島県警・リーゼント刑事が唖然!結婚詐欺師に名を騙られた事件を振り返る

刑事が結婚詐欺事件に巻き込まれた顛末とは?(イラスト/友利琢也)

刑事が結婚詐欺事件に巻き込まれた顛末とは?(イラスト/友利琢也)

 徳島県警を退職後は犯罪コメンテーターとして活躍する「リーゼント刑事」こと秋山博康氏の連載「刑事バカ一代」。秋山氏が刑事時代に遭遇した“ニセリーゼント刑事”の事件について綴る。

 * * *
 新年おめでとうさん、リーゼント刑事こと秋山博康です。

 徳島県警を定年退職後、裸一貫で上京してまもなく1年。最近は犯罪コメンテーターとしてメディアに出ることも多くなった。

 昨年末はテレビ朝日の『ビートたけしのTVタックル』に出演し、国際ロマンス詐欺や悪質客引きについて話した。たけしさんと同じ番組に出るなんて1年前には考えられんかったことで、応援してくれる人に本当に感謝しているで。

 実はワシも結婚詐欺に巻き込まれたことがある。鳴門署で刑事になりたての頃やった。

「あの~秋山刑事はいますか?」

 ひとりの女性が署を訪れたので「はあ、ワシが秋山ですが……」と応対すると、女性は怪訝そうにワシの顔を見て「アンタ誰?」と言った。

 よくよく聞けば女性はスナックのママで、ワシの名刺を持って店に来た客と恋仲になり、さんざん貢いだという。どこからかワシの名刺を手に入れた男が“ニセ秋山”になり、結婚を仄めかしてママを誑かした。そして金品をせしめてトンズラしたんや。

 騙されたと知ったママはわんわん泣いたが、界隈に話が広まることを恐れて被害届を出さなかった。しかし腹の虫が収まらないワシは鑑識で名刺の指紋を調べ、結婚詐欺の前歴者リストと符合する男を突き止めた。それで男の職場に押しかけて、「ワシがホンマの秋山や! 何の罪もない女性を騙すとは卑劣な奴や!」と一喝した。

 その後、ママの店を訪れ顛末を報告すると、ほろ酔いの彼女がとろんとした目で「本物の秋山さんに恋すればよかったわぁ」と言い始めた。ワシは慌てて逃げ帰ったわ(苦笑)。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。