*13:10JST 井関農 Research Memo(10):2025年12月期はプロジェクトZの効果もあり、2ケタ増益予想
■井関農機<6310>の業績動向
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の業績見通しについては、売上高が170,500百万円(前期比1.2%増)、営業利益が2,600百万円(同35.4%増)、経常利益が1,800百万円(同14.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,300百万円(前期は3,022百万円の当期純損失)を見込んでいる。下期を中心にプロジェクトZの効果を見込み、増収2ケタ増益予想としている。
国内では、構造的な需要減少が続くなか、プロジェクトZに基づいて成長分野である「大型」「先端」「環境」「畑作」への経営資源の集中や販売の強化を継続する。なかでも大規模農家向けに商品やサービスを強化するとともに、営農情報サイト「Amoni」のコンテンツを引き続き拡充する方針で、新型の「アイガモロボ2」の発売にも期待している。また、2023年の高温障害などがきっかけで供給不足となり上昇している米価については、政府米の放出や作付面積の拡大予想などから落ち着く可能性があるとの予測もあるが、作付面積の拡大は農機業界にとって追い風になることが予想されている。海外では、北米が底打ち、アジアが回復する一方、減収が見込まれるものの欧州では依然高水準の需要を見込んでいる。プロジェクトZの収益貢献については、一時費用は残るものの、製品利益率の改善や固定費の圧縮、英国PTC社連結の効果などを下期を中心に見込んでいる。
製品別の状況は、国内の農機製品は、長期構造的な需要減少は続くものの、米価水準の高止まりによる農家の購買意欲回復や成長分野への経営資源集中・販売強化により、増収を見込んでいる。作業機については前期の高水準から平年並みに戻り、施設工事については米価水準や市場環境好転の影響を受けることが想定される。海外については、北米ではコロナ禍後厳しい状況が続いていたコンパクトトラクタ市場の底打ちに期待し、アジアではアセアンがタイ周辺国への展開を図り、韓国では在庫調整後の出荷促進を見込む。また、欧州では前期大幅に伸びた仕入電動商品の反動の一方、景観整備用製品で引き続き高水準の需要を予想している。PTC社子会社化による売上げ増は、もともと供給しているため多くは相殺される想定である。
営業利益は、前期の価格改定効果と原価高止まりの影響を同額と想定、プロジェクトZについては増益効果の一方で国内販売会社の統合費用や熊本製造所から松山製造所への生産移管にかかる一時費用を見込むため、増益率は大きくなるものの増益幅は小幅の見込みとなった。ただし、内外ともに収益状況が良化する方向にあるなかで、欧州の売上高や営業利益率がやや保守的な予想になっている感が強い。そのうえ、2025年12月期は前期苦戦した3月にアクセルを踏むなど足元で営業状況が好転しているように見えることから、通期予想の達成難易度はさほど高くないと弊社では見ている。なお、「アイガモロボ2」は、価格が抑えられているため引き続き人気となりそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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