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【注目トピックス 日本株】クオルテック Research Memo(7):専門性・技術力・TQS、それぞれの継続進化により高い成長を目指す(2)

*11:57JST クオルテック Research Memo(7):専門性・技術力・TQS、それぞれの継続進化により高い成長を目指す(2)
■クオルテック<9165>の成長戦略

2. 成長戦略
同社は2024年6月期から2027年6月期の経営目標として、各事業において事業機会を確実に捉え、成長の可能性を広げる期間とし、2027年6月期の売上高を50億円以上、営業利益率を15%以上とするとともに、設備能力を15%増強、人員を30%増強することを目標としている。中長期の目標としては、TQSの進化を続けることにより既存事業領域に加えて新規事業領域へと事業内容を拡大し、長期的には売上高100億円以上を目指す。

(1) 全社成長戦略
TQSにより、顧客からの依頼に対して測定、試験、解析、評価といったすべての作業をワンストップで提供し、顧客の困りごとを解決することで受注高を拡大する。この方針で各事業を進めることで全社ベースの売上・利益の拡大につなげる。同社としてはTQSを推進するためにはさらなる進化が必要としている。主な理由の一つとなるのは市場動向である。同社が主力分野とする自動車産業は、「CASE」(Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動化)の4つの領域の頭文字による造語)といった領域での進化が求められ、大きな変革の時期にある。今後の自動車開発の比重はハードウェアからソフトウェアに重点が置かれるが、自動車の設計・開発の考え方も大きく変わる。従来は設計・開発した仕様を実車・実機を用いて検証し、品質・性能を作りこむ方式であったが、今後はバーチャル技術を活用して、設計した内容を都度机上検証しながら開発を進める方式に変わる。その場合、ハードを含めた品質面の検証も設計工程で行う必要があり、ハードウェアの信頼性評価も従来より早い工程で必要になる。同社のように車両の研究開発の早期段階からメーカーと共に対応している企業はより重宝されると見られ、同社としてもTQSを進化させることでビジネスチャンスが拡大すると考えている。自動車以外の分野でも電子機器におけるソフトウェア開発の比重が増すにつれ、ハードウェアの信頼性評価が外部委託される機会の増大が予想される。そのようなチャンスに対してTQSによるワンストップサービスによる対応を進めるものだ。もう1つの理由として、競合他社でも同社のTQSのようなワンストップ型のサービスを展開しており、TQSの進化が必要という事情がある。また3つ目の理由としては信頼性評価の拡販だ。同社によれば2025年6月期中間期の売上高に占めるTQSに係る売上比率としては、環境試験が45%なのに対して、研磨や分析といった工程に係る売上比率はそれぞれ13%、12%と低い水準にある。研磨や分析の工程は信頼性試験の後工程となることが多いため、顧客の研磨や分析に対するニーズを取り込むためには、TQSによって信頼性評価の内容を高めて後工程を含めた受注確度を高めることが必要となる。

なお、同社はTQSとして4つのタイプのソリューションを有している。「一連型」は試験、解析、試料作製、解析の一連の作業を行うもの、「改善型」はレーザによる微細加工や表面処理を駆使した改善作業、「一括型」は複数の信頼性試験項目を実施するもの、「包括型」は規格調査、試験実施、規格認証といった作業を包括的に行うものである。同社はこれらのソリューションを進化させることで顧客の高度化する試験ニーズに柔軟に対応するつもりだ。自動車業界を例にとれば、CASEによって信頼性試験の評価対象が部品レベルから製品レベルへとサイズアップしていくことが想定される。評価対象に対して最適なTQSのタイプを選択することによって顧客の信頼性評価ニーズに対応する考えである。部品については従来の単品評価、一つの機能単位である「モジュール」については一括型や改善型、動力部などのコンポーネントユニットについては一括型や包括型、パワー半導体は一連型といったような具合である。このように車両の幅広い試験に対応すべく、TQSを進化させることで成長戦略につなげていく。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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