*12:55JST 美樹工業 Research Memo(5):社会のインフラを支える総合的な建設事業(2)
■美樹工業<1718>の事業概要
(3) ガス事業(都市ガス導管敷設工事)
ガス事業(都市ガス導管敷設工事)では、大阪ガスネットワーク(株)の外管工事会社として、ガス導管(外管)工事(都市ガス導管の新規敷設、経年管の入れ替え・移転入れ替え)、敷地内工事(内管)、ガス管の保全業務、緊急保安業務などを行っている。また、ガス導管敷設工事に係る道路保全として道路舗装工事やエポ工法(R)※を用いたマンホール鉄蓋修繕工事の施工などを行っている。さらに、ガスインフラは大規模な地震や台風などの自然災害や老朽化などによって供給が突然ストップするなど予期せぬトラブルがしばしば起きるが、そうした際の緊急工事にも対応、大阪ガスの指定工事会社として1年365日、24時間体制で暮らしの安全を支えている。
※ エポ(EPO)工法(R):ダイヤモンドカット円形切断技術による修繕工法。道路上のマンホール周囲を丸く切断して撤去し、立ち上がり強度の高いESコンクリート(エポキシ系樹脂コンクリート)を用いて復旧する。
さらに同社は、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、大阪府北部地震の際に、大阪ガスから要請を受けて協力業者とともに被災地へ赴き、一日でも早くガスを使用できるよう総力をあげて復旧活動に取り組んできた。このような経験をもとに、災害時でもすみやかにガス供給を再開するためのノウハウを蓄積してきた。こうした地道で着実な作業が評価されたためと思われるが、大阪ガス指定工事会社における工事獲得シェアは、兵庫県エリアで常にトップクラスを誇っている。ガス工事には様々な手順や作業があり、そのためガス工事を行うには定められた資格が必要となる。同社は人材育成に向けた取り組みとして、資格の取得を目指す社員を積極的にサポートしている。加えて、安全、品質、CSの向上に取り組む協力業者を表彰・褒賞する評価制度を設け、社内外のレベルアップに注力している。同社はこのように、人材育成や協力業者との連携強化、さらにはDXの導入に積極的に取り組むことで、事業全体で作業の効率化と生産性の向上を図るとともに、トラブルや自然災害への対応力を磨き上げ、次世代のライフライン形成の礎とする考えである。
(4) 設備工事
設備工事では、関西圏を中心に、敷地内や建物内などのガス配管工事、ガス温水冷暖房システムなどのガス設備工事、ビルなどの空調設備工事、ガス機器・住宅設備機器などの販売及び施工工事、公共施設や商業施設、マンションといった大型工事における給水・給湯・排水・冷暖房工事、スプリンクラーなどの消防設備工事、戸建住宅の水道配管工事を行う給排水衛生空調工事、及びこれらに付随するメンテナンス業務を手掛けている。ほかに、維持管理業務としてガスの保安点検や、下水道管などほかの埋設管工事において既埋設管が影響する場合の立会なども行っている。長年にわたって培ってきたガス工事会社としての知名度と、設備工事専門の技術者によるクオリティの高い作業を背景に、近年、同社の設備工事に対する信頼性が高まり、様々なハウスメーカーや医療施設からの受注が増えてきた。
設備工事は建築工事のバックグラウンドで行われることから、仕上がりを外から見ることはできないが、適切に工事が行われたかどうかは、快適さや使いやすさ、建物自体の耐久性となって現れる。このため同社は、専門技術者によるクオリティの高い作業に加え、アフターサービスにも重点を置いてトラブルにもすみやかに対応できる体制を整え、工事の品質を保証している。このため、社内で技術者を積極的に育成しており、現場の技術管理を実践する1級管工事施工管理技士の資格取得者は、県内でもトップクラスとなる30名以上となっている。また、設備工事の実績をもとにきめ細かいメンテナンス計画を立案し、定期的にメンテナンスを行って設備のトラブルを未然に防いでいる。さらに、建築工事も一体となった対応が可能なため、建築計画に沿った設備工事プランを提案することで、工事期間中の作業効率を最大化できる。
(5) 太陽光発電事業
太陽光発電事業では、国内に5ヶ所の太陽光発電所を保有し、東京電力ホールディングス<9501>や関西電力<9503>といった電力会社へ電力を販売するほか、自社で発電事業を手掛けるノウハウを背景に、太陽光発電設備の設置工事を全国で手掛けている。同社は、総合建設会社としての強みを生かすことで、用地探しから地盤造成、土台の設計・施工、保守管理、売電まで太陽光発電のすべてをプロデュースでき、産業用太陽光発電のパイオニアとして豊富な施工実績を誇っている。近年では太陽光以外の再生可能エネルギーにも積極的に取り組んでおり、昨年、島根県の隠岐島で風力発電所を竣工した。そのほか、自己所有の太陽光発電所の電気を使い、同社自身のカーボンニュートラル化を推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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