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【注目トピックス 日本株】ストレージ王 Research Memo(4):運営管理と開発分譲の2本柱でストックとフローの収益ミックスを最適化(2)

*11:14JST ストレージ王 Research Memo(4):運営管理と開発分譲の2本柱でストックとフローの収益ミックスを最適化(2)
■ストレージ王<2997>の事業概要

4. 同社の強み
同社は、運営力、仕入開発力、物件売却力という3つの強みにより、事業全体の競争優位性を確固たるものとしている。各要素は、同社がトランクルーム市場において持続的な収益拡大と安定的な資産運用を実現するための基盤となっており、これらの強みは顧客ニーズへの的確な対応と高い設備品質、さらに優れた不動産開発と売却能力に裏打ちされている。

(1) 運営力
同社は、トランクルームの適正な運営により稼働率を上昇させ、収益の拡大を実現している。安心・安全な設備の確保に注力しており、建築基準法に基づく構造強度、断熱性能、雨水浸入対策といった基本性能を充実させるとともに、すべての建物が建築確認を取得しているため、顧客は安心して荷物を保管できる。システムキーや監視カメラなどのセキュリティ対策により、顧客の目に触れることのない部分においても高い品質が維持されている点は、同社の大きな強みである。加えて、定期的な巡回と清掃、ビルイン型廊下のカーペット仕様やエアコン、除湿器といった充実した空調設備を整えることで、店舗全体の清潔感と快適性が保たれている。運営・リーシングの実績に裏付けられたノウハウにより、利用実績に基づいたレイアウト計画や価格設定を可能にするとともに、既存店舗においても柔軟なレイアウト変更が可能となっている。顧客への家財保管のアドバイスや、クローゼット感覚の内装設計、室内大型案件では窓からの自然光を取り入れる工夫、さらにはコンテナ案件において庫内照明を設けるなど、機能とデザイン性を両立させる点においても高い評価を得ている。これらの施策は、同社が顧客の多様なニーズに迅速かつ的確に応えるための運営力の高さを如実に示している。運営面での継続的な改善と実績の蓄積は、収益基盤の安定性を裏付ける要素であり、今後の市場拡大の面でも期待できると弊社では考えている。

(2) 仕入開発力
同社は、トランクルームに適した用地を適正な価格で取得、あるいは借地する能力においても競争優位性を有している。過去の土地購入や借地の実績により、土地所有者や仲介業者から有益な情報が得られると同時に、立地や形状に制約を受けない競争力のある取引が実現されている。さらに、静かな施設運営と手間のかからない運営体制により、利用頻度が低くトラブルが少ないことから、地主がリピートする仕組みが確立されている点も注目に値する。同社は、建築から修繕、改修に至るまでのすべての業務を一括して受託し、トランクルーム利用における土地の再転用が容易であることを強調している。さらに、不動産仲介業者、金融機関、設計事務所・ゼネコン、さらには不動産投資家と密接な関係を構築しており、これらの連携を通じて仕入、建築、売却の各プロセスにおいて効率的な取引を実現している。

(3) 物件売却力
完成したトランクルーム物件を投資家に対して継続的に売却する力も、同社の競争優位性の1つである。用地購入資金の調達や、ゼネコン・設計事務所との協業により年間30億円規模の物件供給体制を確立している。さらに、屋内大型案件における開発実績を背景に、不動産仲介業者や信託銀行などとの関係強化を図り、投資家に対して継続的かつ安定的な運用資産を供給している。さらに完成後の追加投資が少なく、運営管理の手間が少ないことから、不動産投資家がリピートする事例が多い点も売却の安定感につながっている。

5. 市場環境
同社では、首都圏におけるマンション価格の高止まりは継続し、テレワーク等の定着からトランクルーム利用については底堅い需要があると見ている。国立社会保障・人口問題研究所が2023年12月22日に発表した2050年までの「地域別将来推計人口」によると、2050年に日本の総人口は2020年比2,146万人減少の1億468万人となるが、東京都のみ2020年人口を上回ると予測されており、同社では東京エリアのトランクルーム需要は当面継続すると見込んでいる。

総じて、トランクルーム市場は堅調な成長を続けており、都市部における居住環境の変化や家賃高騰がその需要拡大を後押ししている。今後も消費者のライフスタイルの変化に伴い、さらなる市場拡大が期待されると同時に、競争力のあるサービス提供や立地戦略を強化することが、持続的成長のカギとなると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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