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【注目トピックス 日本株】ストレージ王 Research Memo(3):運営管理と開発分譲の2本柱でストックとフローの収益ミックスを最適化(1)

*11:13JST ストレージ王 Research Memo(3):運営管理と開発分譲の2本柱でストックとフローの収益ミックスを最適化(1)
■ストレージ王<2997>の事業概要

同社の事業は、トランクルーム運営管理事業、トランクルーム開発分譲事業、その他不動産取引事業の3セグメントに大別される。トランクルーム開発分譲事業では、トランクルームの自社開発を通じた収益不動産の投資家への売却による利益(開発分譲による利益)、トランクルーム運営管理事業では、開業後のトランクルーム運営による利益(運営管理の利益)、その他不動産取引事業では、トランクルーム以外の不動産取引による利益を、それぞれ上げている。なお、トランクルーム開発分譲後に当該物件を固定家賃でマスターリースする場合、開業初期は部屋の稼働率の上昇が緩やかであるため、当該物件の運営管理利益が数年間はマイナスとなるリスクを同社が負担している。

同社が手掛けるトランクルームの建築様式については、コンテナ型とビルイン型に大別される。コンテナ型は、駐車場が確保できる道路沿いの敷地に建築用コンテナを設置し、利用者が荷物を収納する方式である。建築用コンテナは、輸送の都合上貨物用コンテナと同じサイズであるが、柱と梁により強度を確保した建築用の部材を使用することで、日本の建築基準法に適合する建物として建築可能となっている。また、コンテナ同士の連結や内部の仕切りにより部屋サイズの調整が可能で、コンテナ自体は外気にさらされるが、雨風を通さない堅牢な扉の構造が採用されている。

一方、ビルイン型は在来建築を基盤とし、場合によってはコンテナモジュールを一部使用するものの、建物自体が雨風を遮断する構造となっている。建物の入口は電子錠等で施錠され、トランクルーム利用者以外の入館が困難な設計であるため、利用者の安全性を確保しやすい。また、各利用者の部屋の入口や間仕切りはコンテナ型に比べ簡易で、開け閉めが容易であるという特徴がある。近年は、女性利用者の増加や衣類や家財保管に適した空調付施設への需要が高まっていることから、ビルイン型の導入比率は高い成長を示している。なお、2025年1月末時点ではコンテナ型及びビルイン型の店舗を合わせて195店舗に達している。

1. トランクルーム運営管理事業
トランクルーム運営管理事業は、利用者に対してトランクルームを貸し出すことにより利益を獲得し、利用者から受領する利用料金が収入となる。一方、原価には同社が所有または賃借するトランクルームにかかる不動産コスト、運営管理に必要な各種コストが挙げられる。同セグメントは、固定家賃型と変動家賃型に分かれる。固定家賃型では、同社が事業主体として物件を所有または固定家賃で賃借するため、不動産コストが固定的に発生し、トランクルームの稼働状況に応じた利用料金が同社の収益に直接影響する。一方、変動家賃型では、同社は不動産所有者または投資家からビルを賃借もしくは管理受託し、利用者から受領した利用料から一定の料率(おおむね10%程度)を控除した額を不動産所有者または投資家に支払う仕組みである。また、運営面ではインターネット広告に加え、セルフストレージ専用のポータルサイトやWEB決済システムを導入することで、集客の窓口を広げ、契約手続きの簡素化及び期間短縮を実現し、契約獲得の増加を図っている。

2. トランクルーム開発分譲事業
トランクルーム開発分譲事業は、トランクルームを企画・開発し、完成後に投資家へ売却することで利益を獲得する。事業は、用地購入・ビルイン型建築の場合と、土地賃借・コンテナ型建築の場合に大別される。具体的には、用地を購入しビルイン型建物を建設後、土地建物として売却する場合と、借地上にコンテナ型建物を建設後、建物部分を売却する場合がある。また、場合によっては、トランクルームの内装部分のみを売却するケースも存在する。特に、2019年以降は在来建築によるビルイン型トランクルームの開発に注力しており、トランクルームの企画・開発機能はデベロップから同社に引き継がれ、用地取得から建築業務まで同社が施主として取り組むことで、独立性を高めている。加えて、首都圏エリアを中心に旺盛な需要に応えるべく、借地上でのコンテナ型開発にも注力している。実際、2019年12月に神奈川県川崎市高津区で初のビルイン型店舗である梶が谷トランクルームを開店し、その後も各地域で上石神井、中板橋、中野沼袋、ときわ台、東浅草、江戸川橋、尾山台、新大塚、本八幡、那覇泉崎、下目黒、西大井、東長崎、天王町、杉並宮前、幡ヶ谷、亀戸、南砂と、店舗を順次開店している。ビルイン型トランクルームは、借地ではなく所有権のある土地上に建設する必要があるため、初期投資が土地と建物を合わせおおむね3〜6億円以上となるが、開発段階で大口投資家(法人)と情報共有し、価格目線をすり合わせており、銀行借入もスムーズに進む投資パイプラインが構築されている。

3. その他不動産取引事業
その他不動産取引事業は、トランクルーム開発以外の不動産に関して、コンサルティングフィーの受領、売買、賃料収入等を通じた利益獲得を目的としている。同社は不動産事業者やテナント候補との接点を多く有することから、トランクルーム以外の不動産に関する売買やコンサルティングの依頼を受ける可能性がある。なお、トランクルーム用地として購入した土地に対して引き合いがあった場合や、まれに開発スケジュールの遅延が生じた場合には、不動産事業者として土地のまま売買を行うケースも想定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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