*12:43JST ブリッジコンサルティンググループ:プロ人材DBを活用した独自モデルで成長、2030年には売上高5倍へ
ブリッジコンサルティンググループ<9225>は、同社運営のプロフェッショナル人材データベース「会計士.job」に登録している公認会計士を活用し、顧客に経営支援を提供している企業である。主力の経営管理コンサルティングサービスの対象領域は、上場準備や市場区分変更を支援する「IPO支援」、内部監査支援などの「リスクマネジメント」、決算開示支援などの「アカウンティング」、M&Aアドバイザリーなどの「フィナンシャルアドバイザリー」など多岐にわたる。また同社は、会計士.jobを活用した人材紹介サービスも展開、経営層や管理部門のプロヘッショナル人材の紹介業も行っている。
2024年9月期の売上高は2,017百万円(前年比21.9%増)、営業利益は231百万円(前年比48.8%増)と2桁の増収増益であった。2020年9月期以降、顧客数・会計士稼働者数とともに、同社の売上高は右肩上がりに伸びており、直近4年間の売上高の年平均成長率は32%にものぼっている。2024年9月期のサービスラインごとの売上高比率は、経営コンサルティングサービスが9割(内訳:IPO支援1割、リスクマネジメント3割、アカウンティング3割、フィナンシャルアドバイザリー2割)、プロフェッショナル人材紹介サービスが1割である。
経営管理コンサルティングサービスでは、「会計士.job」から顧客のニーズに応じた公認会計士を選定、同社正社員がプロジェクトマネージャーとなりチームを組成した上で、プロジェクトの実行支援までを担う。「会計士.job」には約5,000名が登録(2024年10月時点)、様々な分野において高い専門性を持つ公認会計士がスムーズに確保できるため、短期間で顧客の課題に応じた適切なチーム組成が可能だ。これら専門性の高い会計士がもたらす集合知とテクノロジーの活用が、KPMGやPWCといった4大会計事務所に匹敵する高いクオリティーのサービスを、低コストで提供することを可能としている。
創業以来、同社はIPO準備会社への支援に強みを持ち、IPO準備会社の約3割が同社の顧客と推定している。この分野においては、TAKARA & COMPANY<7921>子会社のタスク、AGSコンサルティングの2社が主な競合企業だ。一方、同社が現在シェア拡大に力を入れているのは、上場企業を顧客とする経営管理コンサルティングサービスである。この市場での同社シェアは約5%。4大会計事務所等の大手が大きなシェアを得ているが、同社は既に売上高や時価総額が1兆円を超える上場企業との取引もある。今後は、業務資本提携先との連携強化など各種施策を通じて、シェアアップを推し進めていく方針だ。
同社は、2030年9月期を最終年度とする3つの中長期戦略を公表している。ひとつ目の戦略は、ターゲット市場・提供サービスの拡大である。IPO準備会社を中心としたターゲット市場を上場企業、さらにはスタートアップや中堅企業へと拡大し、加えて提供サービスのラインアップも広げていく。2つ目の戦略は、「会計士.job」の開発投資だ。「会計士.job」のリニューアルを通じて、公認会計士のプロジェクトへのアサイン業務の効率化と高度化を図る。3つ目は、人材プールの確保と拡大。「会計士.job」の会員登録者数増加を図り、稼働会計士数の増加、さらには同社のプロジェクトマネージャーの確保へとつなげていく計画だ。同社は、2030年9月期の数値目標として、売上高100億円(前期末約20億円)、クライアント2,000社(同約500社)、同社コンサルタント数150名(同43名)、会計士.job登録者10,000名(2024年10月時点約5,000名)を掲げている。なお、2025年9月期は、売上高2,430百万円(前年比20.4%増)、営業利益150百万円(前年比35.1%減)と増収減益となる見込みだが、これは中長期目標2030達成に向けた各種投資の実施による一時的なものとのこと。
1983年生まれの宮崎社長は、「自分の世代の誕生以降、トップだった日本の競争力は凋落の一途をたどった。この世代のひとりとして、日本浮上のきっかけを作り、次の世代につないでいきたい」という強い想いを語る。その宮崎社長が思い描いているのは、4大会計事務所に比肩する日本発のグローバル会計事務所だ。同社の中長期戦略と数値目標は、その将来像を実現するための一里塚にすぎない。長期的な構想を持ち、公認会計士のデータベース化と経営支援の提供という新たなビジネスモデルで成長を続ける同社の今後には注目しておきたい。
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