*12:51JST 美樹工業 Research Memo(1):大型物件工事が進捗し、業績は大幅改善へ
■要約
1. 兵庫県姫路市に本社を置き、土木や設備を含む建設事業と住宅事業を展開
美樹工業<1718>は、本社を姫路市に置き、兵庫県と大阪府を中心に総合建設業を行っている。事業セグメントは建設事業と住宅事業で、建設事業では建築工事、土木工事のほか、都市ガス導管敷設工事(ガス事業)や給排水工事、空調衛生設備工事、ガス・住設機器工事などの設備工事、賃貸収益マンション※の売却などを行っている。住宅事業では戸建住宅などの建売や分譲、リフォーム、不動産賃貸などを手掛けている。また、同社の事業は同社のほか子会社4社で構成されており、建設事業は同社及び設備工事を行う三樹エンジニアリング(株)が、住宅事業は積水化学工業<4204>のユニット住宅を扱うセキスイハイム山陽(株)及び注文住宅の建売などを行う(株)リブライフが担っている。なお、2024年に建築工事のほかデジタルサイネージなども取り扱う(株)ヒョウ工務店を買収した。
※ 賃貸収益マンション(収益賃貸物件投資):家賃収入と売却収入による利益を狙う不動産投資向けマンション。
2. 強みは広い事業領域において土木から設備までワンストップで対応できる総合性
同社には、他社にない広い事業領域を持ち、土木から建築、設備までワンストップで対応できる総合性という強みがある。このため非常に打ち手が多く、様々な物件や要望に沿う分厚く複合的な提案営業が可能となり、実績、そして顧客の信頼へつなげている。兵庫県の建設業界は価格競争が厳しいが、こうした提案営業を得意とし収益性を重視しているため、無理して受注しないよう努めている。また、ガス事業では、長年の実績から大阪ガス<9532>との取り組みが安定した収益基盤となっていることが強みと言える。住宅事業では収益性が厳しい住宅販売を賃貸収入でカバー、建設事業では新たな収益源として1棟賃貸マンションの展開を進めており、こうした展開力も強みと言えそうだ。
3. 2025年12月期は、大型物件工事の進捗によって業績が大幅に改善する見込み
2024年12月期の業績は、売上高が27,292百万円(前期比15.3%減)、営業利益が1,134百万円(同13.8%減)となった。売上高は、大型物件工事の着工時期の遅れなどから減収となった。また、売上総利益率は回復したものの、減収に加え、給与見直しに伴う人件費の上昇やM&A仲介手数料の発生などにより販管費が増加したため、営業利益も減益となった。2025年12月期の業績見通しについて、同社は売上高35,000百万円(同28.2%増)、営業利益1,500百万円(同32.2%増)と大幅な改善を見込んでいる。着工時期が遅れていた大型物件工事が進行してくるうえ、事前発注などにより原価の低減も図ることで、人件費など販管費の増加を吸収し、売上高と営業利益はそれぞれ2ケタ増加する見通しだ。
4. 2028年12月期売上高400億円、営業利益率5.7%に向け、中期経営計画は順調に進捗
高齢化や人材不足、資材高騰など問題が山積の建設業界は、大きな転換期を迎えている。同社は、そうした時代の挑戦者として2024年スタートの中期経営計画「2024-2028」を策定し、事業基盤の強化、人を大切にする経営、戦略的投資計画という3つの基本方針に沿って、2028年12月期に売上高400億円、営業利益率5.7%(営業利益額22.8億円)を目指している。具体的には、売上高は大型物件工事の増加やM&Aによって達成、営業利益は大型案件も含め好採算のリフォームやリノベーションを強化することで達成する計画で、現状、3つの基本方針をはじめ進捗は順調である。このため、中期経営計画の先にさらに「Miki Next Challenge 500」を設定し、売上高500億円、従業員数500人、新卒社員モデル年収500万円の早期実現も目指している。
■Key Points
・兵庫県と大阪府を中心に建設事業と住宅事業を展開、強みはワンストップの総合力
・2025年12月期は大型物件工事が進捗開始、2ケタ増収増益と大幅な業績改善を見込む
・2028年12月期売上高400億円、営業利益率5.7%を目指す中期経営計画も進捗順調
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<KM>