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【注目トピックス 日本株】ストレージ王 Research Memo(7):都心部でのトランクルーム需要は引き続き堅調で、通期計画達成の可能性は高い

*11:17JST ストレージ王 Research Memo(7):都心部でのトランクルーム需要は引き続き堅調で、通期計画達成の可能性は高い
■ストレージ王<2997>の今後の見通し

1. 2026年1月期の業績見通し
2026年1月期の業績は、売上高4,400百万円(前期比3.2%増)、営業利益185百万円(同7.6%増)、経常利益173百万円(同1.2%増)、当期純利益130百万円(同72.4%増)を見込んでいる。2026年1月期においては、リーシング強化と出店形態の戦略的配分を引き続き重視する。従来の受注方法に加え、マーケティングによる販促強化や各店舗別の個別対策、さらに他事業者との連携による営業連携の強化が図られる。また、建設費用の高騰やエレベーター供給不足に対しては、コンテナ建築のトランクルーム出店を強化し、2025年1月期の24店舗から2026年1月期は40店舗出店する計画である。さらに、首都圏集中傾向が当面継続する見通しに基づき、東京都中心の屋内型物件の出店を継続し、建築価格高騰に対応した慎重な用地確保及び都心型木造案件への取り組みを実施する方針である。都心部におけるトランクルーム需要は引き続き堅調であり、不動産投資家においては、ホテル物件などの購入検討が難しくなる状況下で、ボラティリティの少ないトランクルーム案件へ積極的な姿勢を見せている。これらの要因から、物件投資需要は安定して推移することが見込まれ、通期予想達成の可能性は高いと弊社では見ている。

2. 重点施策
同社は、今後の市場環境を踏まえ、複数の重点施策を実行することで事業基盤の強化と収益拡大を図る方針である。リーシング強化、出店形態の戦略的配分、首都圏屋内型物件の出店継続という重点施策を通じ、競争優位性の確立と収益性の向上を目指している。これらの施策は、短期的な収益改善のみならず、長期的な企業価値の向上を実現するための堅実な戦略であり、今後の展開が期待される。各施策の詳細については以下のとおり。

(1) リーシング強化
リーシング強化策としては、データドリブンマーケティングを活用した販促施策の実施が挙げられる。従来の販促活動とは一線を画し、利用者層のターゲットを明確化することにより、これまで取り込めていなかった年代層やエリアへのアプローチを強化する。サービスサイトの改修や、コンテンツマーケティングを通じたGoogleビジネスプロフィールなどの流入促進、さらにオンラインとオフラインを融合したOMO戦略の推進により、ブランディングと新規顧客獲得を狙う。また、サービスサイトのリニューアルも実施されており、顧客インタビューを通して、実際にどのようにトランクルームが利用されているかを分かりやすく説明するほか、360度ツアーによってネット上で施設内を確認できるようになった。他事業者との営業連携企画においては、自家用車を持たない家庭でも利用しやすいサービス展開や相互送客キャンペーン、さらには推し活支援など、利用シーンに応じた施策が実施されることにより、リーシング強化が一層進展するものと考えられる。これらの施策は、リーシング力の強化によって利用率の向上と契約数の増加を目指すものであり、短期的な収益拡大と長期的な顧客基盤の強化につながると評価できる。

(2) 出店形態の戦略的配分
出店形態の戦略的配分においては、物件開発・売却、開発スキームの多様化、コンテナ案件の強化、さらにはアセットタイプの多様化に重点が置かれる。特に、1拠点当たりの部屋数が少なく稼働率が上がりやすいコンテナ型トランクルームの出店強化に注力し、建設費用の高騰やエレベーター供給不足といった市場環境に対応する方針だ。さらに、建築費の高騰に対しては、建築型案件の用地選定の厳密化と木造建築の検討を行い、同時に既存ビルを利用したビルイン型出店の強化にも取り組む。これにより、効率的な資源配分と収益性の高い出店形態の確立を図る。コンテナ型トランクルームの出店数は、2025年1月期における実績が24件であったのに対し、2026年1月期の目標は40件であり、そのうち19件は既に用地が確定している。この戦略は、出店における初期投資や運営コストの抑制とともに、稼働率向上による収益改善に直結するため、同社全体の業績向上に寄与するものと考えられる。

(3) 首都圏屋内型物件の出店継続
首都圏における出店は、引き続き同社の重点戦略の1つである。首都圏への人口集中の継続と、マンション価格の高止まりを背景として、東京都を中心とした屋内型案件の出店を継続することが計画されている。2026年1月期の出店予定としては、西新宿のオフィス立地出店、都立大学の城南エリア出店、石神井台の都心好アクセス・マンション需要の高い城西エリア出店、さらには川崎新町における出店が予定されている。また、建築価格高騰に対応するため、慎重な用地確保が求められる中、都心型木造案件への取り組みも進められている。都心型木造案件は、建築コストが安く工期が短いうえ、小規模であるため早期に稼働率の向上が見込めるというメリットがある。さらに、償却期間が短く投資規模が小さいため、従来の投資家層とは異なる新たな投資家層への展開も可能となり、首都圏への人口集中やマンション価格の高止まりといった市場環境を背景に、収納スペースの確保が困難な世帯の取り込みに成功する可能性が高い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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