日本中のあちこちに“お金持ちの住む街”が存在する。東京エリアであれば渋谷区の松濤、大田区の田園調布などが有名だが、関西で兵庫県西宮市と双璧をなす高級住宅街があるのが芦屋市だ。富裕層専門のファイナンシャルプランナー・江上治さんが言う。
「関西有数のお金持ちの街といえばやはり芦屋でしょう。私の顧客で年間300億円を売り上げる大阪の老舗メーカーの社長も芦屋に低層マンションを購入し、そこに住んでいます」(江上さん)
ルールの厳しさもさることながら、規格外のハイソサエティーさゆえ芦屋のなかでも“別格”とされる超高級住宅地が「六麓荘町(ろくろくそうちょう)」。最寄り駅はJR芦屋駅だが、そこから徒歩30分以上の距離があり、車での移動を前提とした街である。タクシーで駅を出発し、六甲山の麓の丘陵地を上っていくことおよそ10分。六麓荘町に入ると、景観が一変する。
巨大な石垣に囲まれた大邸宅に美術館のような洋館、ヨーロッパの古城を思わせるような建物がずらりと並ぶうえ、それら1戸1戸の敷地は“どこまで続いているのだろうか?”と首をひねってしまうほど広い。
日本で初めて“無電柱化”された街で、道路脇の深緑色の街路灯が自然豊かな景観をいっそう引き立てる。眼下には芦屋の街並みと大阪湾が広がり、遠くあべのハルカスなどの大阪の高層ビル群も見渡せる。
「六甲山麓の高級住宅地と別荘地だから“六麓荘”と命名されたこの街が誕生してもう100年近くになりますが、景観を守っているのは町内会だと聞いています。入会賛助金は50万円、年会費1万2000円、積立金6000円で、町内の防犯カメラや町内会館の大規模改修の資金に充てているそうです」(付近の住民)
建設中の家もいくつかあるが、どれもが大豪邸。地元のタクシー運転手はこう話す。
「敷地が2000坪くらいある家がざらにあるうえ、工事に数年かけるのは当たり前。施工主はお金にも時間にも余裕があるから妥協しないそうですよ」