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【相場に異変】市場のセオリーを覆した「植田式利上げ」で“上がる株/下がる株” 不動産、金融、鉄鋼、機械、航空セクターの注目銘柄

銀行株の下落は一時的な動きか

 一方、教科書的には「利上げで株価が上がる」とされる銀行株は、3月19日、一時的に株価を下げた。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が語る。

「銀行株は、金利が上がれば利ざや(貸出金利と調達金利の差)が拡大して収益増加につながります。マイナス金利解除の観測を受けて事前に銀行株の買いが進んでいたところに『緩和的な環境の継続』、つまり金利が大幅に上がらないとの発表があり、一時的に売りが進んだ」

 ただし、これは今回の発表直後の一時的な動きだと岡山氏はみる。

「基本的には利上げの流れがあり、利ざやの拡大で今後は上昇が見込めます。金融業では株高による収益増が見込めるSBIホールディングス(8473)や、住宅の駆け込み需要が予想される住宅ローン専門金融のSBIアルヒ(7198)なども上昇が期待できます」

 利上げで企業の借り入れコストは増えるため、マイナス金利下でどうにか存続してきた企業は負担が増し、業界によっては再編・淘汰が進むとの指摘もある。そうしたなかで、「独自の強みで高いシェアを持つ企業の存在感はますます高まる」と指摘するのは、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏だ。

「機械や電気機器などは、独自の技術力を持つ企業が突き抜けた勝ち組になっていくでしょう。航空・防衛・タービンなどの業績が拡大している三菱重工業(7011)や、これから普及が進むガスや水道のスマートメーターで拡大余地が大きい愛知時計電機(7723)などが要注目です」

追加利上げは4月か、6月か

 植田総裁が「緩和的な金融環境の継続」を明言するなか、金融政策決定会合での「追加利上げ」発表の時期も注目される。

 発表の可能性がある日程は4月26日、6月14日、7月31日、9月20日、10月31日、12月19日と続く。

 市場関係者の間では「4月、6月の追加利上げはなさそうだ」(前出・平野氏)との見方が支配的といい、日経新聞は〈利上げ「10月」「7月」観測浮上〉との見出しで、追加利上げは7月、10月、年明けの「3つのシナリオ」が浮上していると報じた(3月21日付朝刊)。

 米国の動向も重要だ。米FRB(連邦準備制度理事会)では「利下げ」観測が強まっている。

「FRBは『年内3回の利下げ』シナリオを提示し、6月にも1回目の利下げがあると見られます。日本の利上げと合わせて日米の金利差が縮小すれば、安全資産としての円が投資家から買われ、円高ドル安に転じる可能性が高まる」(岡山氏)

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