新型コロナウイルス感染症対策分科会が2月25日、緊急事態宣言解除後の感染対策のあり方について提言した。再び感染を拡大させないために、「卒業旅行、謝恩会、歓送迎会は控えて。花見は宴会なし」という生活様式のあり方を求めた。
そうした中、政府は「Go Toトラベル」の段階的再開に向けた調整を始めたと報じられている。全国一律の再開というわけではなく、感染が落ち着いている地域から先行して再開という案も出ているようだが、「Go Toトラベル」は良いのに「卒業旅行は自粛」という矛盾した状態に、学生はもちろん、その周囲からも困惑の声が上がっている。
「Go Toトラベルは再開しようとしているのに卒業旅行は控えろって、ちょっと意味がわからない。冗談でしょ? 卒業旅行は一生に1回なのに……。どうして学生だけが理不尽な事態にさらされなければならないのでしょうか。むしろ学生限定でGo Toトラベルをやってほしいくらいです」
そう怒りを露わにするは、都内の私立大学に通う20代男性・Aさんだ。コロナ禍で、オンライン授業や飲み会自粛など制限を強いられてきただけに、卒業旅行まで奪われる複雑な心境が伝わってくる。
実際、卒業旅行の中止を決断している学生は多い。旅行体験予約サイト「Klook(クルック)」が実施した「コロナ禍における卒業旅行の実態調査」によると、2021年2~3月に「卒業旅行を予定しない」と回答した学生は6割に上った。だが、Aさんは諦めたくないと明かす。
「もちろん感染対策には留意しながら、仲間と3人でどこかに行けたらと思っています。卒業後は、3人とも就職で勤務地もバラバラになるので、旅行するチャンスは今だけ。別に海外に行きたいとか思っていません。国内の温泉とか、小旅行でいいんです」(Aさん)
都内の私立大学に通う20代女性・Bさんも、卒業旅行の自粛要請に納得がいかないという。