昨年来の新NISAブームもあって、個人の資産運用に注目が集まっている。成長投資枠やつみたて投資枠で株や投資信託の人気が高まっているが、実はその裏でFX(外国為替証拠金取引)人気が急拡大しているのをご存じだろうか。
2022年の国内の年間取引額は1京2073兆円に上り、初めて1京円を突破。2024年には1京3803兆円まで膨らみ、過去最大を更新した。そして、2025年1~3月期をみると、すでに前年同期比で約120%のペースで増加しており、このままいくと年間では1京6400兆円に到達することになる。
活況のFXマーケットの背景に取引手法の多様化
なぜ、ここにきてFX取引が急拡大しているのだろうか。
FXでは、円とドルなど2国間の通貨を交換する際のレートの変動で生じる「為替差益」によって利益を出すことができる。例えば、1ドル=140円のときに「円売り・ドル買い」をして、1ドル=145円になったときに「ドル売り・円買い」という反対売買をすれば、5円の利益(=差益)が得られる。たとえ手元資金が少額でもレバレッジをかけて、より大きな金額を動かせば、それだけ大きな利益を狙うこともできる。
FX取引の一般的なイメージというと、こうした差益を細かく狙うために、パソコンやスマホの画面を凝視し、1日に数回~何十回といった頻度で売買を繰り返すデイトレーダーを思い浮かべる人も多いだろう。
「自動売買」の進化が新しいユーザー層を生む
しかし、現在のFX取引の拡大の背景にあるのは、取引手法の多様化の影響があると推測される。その代表的な手法が「自動売買」だ。
あらかじめ取引のルールを設定しておけば、その後はルールどおりに自動で取引が繰り返されるというもので、いちいちパソコンやスマホの画面を操作する必要がない。本業が忙しい会社員でも売買チャンスを逃さずにFXに取り組める。
ただし、従来の自動売買は、取引ルールを設定する際、金融市場や為替相場を分析して、予想をするといった知識や経験が求められるケースがほとんどだった。そのため、FXトレーダーの上級者でないと、なかなか使いこなすのは難しかったといえる。
それが、ここ数年で自動売買のサービス内容は大きく進化。トレードシステムやツールの向上により、取引経験が浅く、為替相場の知識にも乏しいビギナーにも簡単に使えるサービスが登場し、高い人気を集めているのだ。自動売買のバリエーションが増えたことで、新しいユーザー層がFXを始めて、それが取引高の増加にもつながっていると考えられる。
ビギナーでも使いやすい『トライオートFX』の仕組み
インヴァスト証券の『トライオートFX』は、自動売買サービスの中でも特にビギナーでも使いやすいと好評だ。
最大の特長は、用意されているトレード(=取引)ルールを選ぶだけで、簡単に自動売買をスタートすることができる点。
トレードルールのほとんどは、為替レートの値動きが想定されるレンジ(価格の上下幅)に複数の注文を置くというもので、それぞれの注文について、利益が出るレートに反対売買の注文も設置され、そのレートに達すると自動的に反対売買で決済される。
例えば米ドル/円が、だいたい1ドル=140円~145円のレンジで動くと想定した場合、そのレンジ内の「143円でドルを買う」という注文と、その注文が成立したら「143円50銭でドルを売る」という反対売買の注文を設置する。予想どおり、143円になった後に143円50銭になれば利益が出る、という仕組みだ。
ユーザーはトレードルールを選択するだけで知識や経験は不要
いったん決済された注文は、また自動的に“復活”するので、想定レンジ内で為替レートが上下に動けば、繰り返し利益を狙うことが可能。先の例で言うと、米ドル/円の為替レートが、何度も143円と143円50銭を往復すると、そのたびに利益が出ることになる(実際にはこうした注文が一定の値幅で複数並ぶ)。
このように、トライオートFXは、すでに実績のあるトレードルールを選ぶだけで取引を始めることが可能で、ユーザー自身の手でその都度トレードをする必要がない。そのため、専門的な知識や取引経験がなくても、取り組めみやすいというメリットがある。しかも、取引は自動なので、その都度、操作する手間がかからないというわけだ。
自動売買の弱点をカバーする通貨ペアとは?
一見、いいこと尽くめのように見えるが、想定外の事態も起こり得る。為替レートが想定レンジ内で上下するのではなく、レンジの上限あるいは下限を突き抜けていってしまうケースだ。
もう一度、先ほどの例に戻ると、143円でドルを買った後、142円50銭、142円……とさらに円高が進んでしまうと、反対売買をするタイミングがなく、「含み損」がどんどん膨らんでしまうのである。
こうした事態をなるべく回避するにはどうすればよいのか。「トレードをする通貨ペアの選択が最重要です」と言うのはインヴァスト証券の黒川氏だ。
「米ドル/円のような通貨ペアは、いったんトレンドが発生すると、値動きがその方向に進むことが少なくありません。トライオートFXは、レンジの範囲内で動く傾向が強い通貨ペアの取引で強みを発揮します。したがって、一定のレンジ内で動く傾向がある“レンジ通貨”を選択することが大事なのです」(黒川氏/以下同)
レンジ相場を形成しやすい「レンジ通貨」の特徴
レンジ通貨とは、過去、中長期的にレンジ相場を形成している通貨ペアのこと。為替市場において似たような値動きをするため、一定のレンジを形成しやすい。代表的なのは、「豪ドル/ニュージーランドドル」「ユーロ/英ポンド」「米ドル/カナダドル」といった通貨ペアになる。
レンジ通貨は、2つの国や地域が地理的に近かったり、経済的に密接に関係していたりするため、為替レートが一方向に傾きにくく、レンジ相場を形成しやすいとされる。
例えば、「豪ドル/ニュージーランドドル」は、隣り合った国同士の通貨ペアであり、地理的・経済的な類似性が高く、金融政策も一致しやすいことで、レンジを形成している。こうした「隣国」通貨ペアには、「ユーロ/英ポンド」や「米ドル/カナダドル」、「ノルウェー/スウェーデン」なども含まれる。
また、「資源国」通貨ペアというレンジ通貨もある。2国間の地域は離れているものの、石油・金属・食料資源などを産出する資源国という点が共通しており、為替レートが資源価格に影響を受けやすいため、似たような値動きをすることからレンジを形成しやすい。「豪ドル/カナダドル」「ニュージーランドドル/カナダドル」が「資源国」通貨ペアに該当する。
さらに、「リスク回避」通貨ペアとして、「米ドル/スイスフラン」も注目だ。
「この2つの通貨は、世界の金融市場で取引量の多い通貨であり、有事の際には安全資産として買われる傾向があります。そうしたリスク回避の動きがレンジ相場の形成を促しています」
FXで長期の安定運用を目指す「世界通貨セレクト」
インヴァスト証券は、この5月から、これまで紹介してきたレンジ通貨をピックアップした「世界通貨セレクト」を提案している。
「FXで長期の安定した運用を目指す」ことを目的とし、過去10年といった長期でレンジを形成している通貨ペアのみを厳選し、それぞれの相場に適応した自動売買設定(トレードルール)を組んでいる。
「ショック相場のような大きな相場変動も考慮しているため、長期的な運用にも対応することができます」
各通貨ペアは、地域性、金利政策、主要な貿易産業など、それぞれ異なる要因によってレンジ相場を形成する。為替市場の状況により値動きは変動することから、異なる関係性の通貨ペアを複数運用することで、リスク分散効果と収益機会の増加が期待できるという。
とはいえ、短期的には小さなトレンドが発生して、含み損が発生することは珍しくはない。したがって、長期的な視点で取り組む心構えが必要になる。そのためには、ある程度の含み損に耐えられるように、運用資金に余裕を持たせることも大事だ。
レンジ相場を利用したFXの自動売買により、長期で安定的な収益を目指したい人、分散投資によって自分のポートフォリオの安定性を高めたいと考える人は、ぜひ「世界通貨セレクト」にトライしてみてはどうだろうか。