*14:36JST 為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、円安是正の思惑も米中歩み寄りを好感
【今週の概況】
■日銀追加利上げ観測の再浮上を受けてドル買い弱まる
今週の米ドル・円は伸び悩み。アメリカと中国は、スイスで行われた貿易協議の結果、相互に課していた追加関税を115%引き下げることなどで合意したことを受けてリスク選好的な米ドル買い・円売りが活発となった。12日の取引で148円台後半まで買われた。引き下げた関税のうち、24%については撤廃ではなく90日間の停止となったが、米中貿易協議のさらなる進展が期待されたこともドル買い・円売りを促した。しかしながら、13日発表の4月米消費者物価指数(CPI)はインフレ緩和を示す内容だったことや日本銀行による追加利上げ観測が再浮上したことから、週後半にかけてリスク回避の米ドル売り・円買いが強まり、16日の東京市場で取引で一時145円を下回った。
16日のニューヨーク外為市場で米ドル・円は一時146円10銭まで戻した。5月ミシガン大消費者信頼感指数の期待インフレ率の急伸を受けて、年内利下げ観測が後退し、ドル買いが強まった。しかしながら、ニューヨーク市場の終盤に格付け会社ムーディーズ・レーティングスは、米国債の格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に引き下げたことを受けてドル買いはやや後退し、145円70銭でこの週の取引を終えた。米ドル・円の取引レンジ:144円92銭-148円65銭。
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、円安是正の思惑も米中歩み寄りを好感
来週のドル・円は下げ渋りか。カナダで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の場で日米2国間の協議が行われる可能性があること、円安是正について協議されるとの思惑もあることから、円買い圧力がやや強まりそうだ。米中貿易交渉や首脳会談で両国の歩み寄りが期待され、リスク回避のドル売りが一段と拡大する可能性は低いものの、米インフレ指標の伸びは鈍化し、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ余地は残されている。また、米国経済の減速懸念は根強く、来週発表予定の5月製造業・サービス業PMIが市場予想を下回った場合、ドル売り再開の手がかりとないそうだ。
一方、日本のインフレ指標は高止まりの見通しだが、日本銀行は米高関税政策による不確実性のほか、日本経済のマイナス成長にも対応を迫られている。経済情勢の悪化などで追加利上げ観測が再度後退した場合、リスク回避の円買いは大幅に縮小する可能性は残されている。
【米・5月製造業・サービス業PMI】(22日発表予定)
22日発表の5月PMIは景況感が改善されるか注目。前回は製造業が50.2、サービス業は同50.8だったが、節目の50を割り込めば減速懸念によるドル売りが強まる見通し。
【日・4月全国消費者物価コア指数】(23日発表予定)
23日発表の全国消費者物価コア指数(コアCPI)は前年比+3.5%と前回実績の+3.2%から加速が予想される。ただ、マイナス成長を受け利上げ観測は高まらず、円買いは限定的となる可能性がある。
予想レンジ:144円00銭-147円00銭
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