*14:06JST 早稲アカ Research Memo(6):2026年3月期は塾生数増加と売上単価上昇で収益拡大が続く
■早稲田アカデミー<4718>の今後の見通し
1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は売上高で前期比7.5%増の37,683百万円、営業利益で同3.5%増の3,673百万円、経常利益で同3.6%増の3,731百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.7%増の2,589百万円となる見通し。売上高は塾生数増加や売上単価の上昇を主因として15期連続増収を見込む。人的投資やDX投資、広告宣伝費等が増加するものの増収効果で吸収し、営業利益及び経常利益も5期連続で増益となる見通しだ。親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が高くなるのは、賃上げ促進税制の税額控除分が2026年3月期は増加する見込みであり、実効税率が低下することが主因だ。
なお、期中平均塾生数は前期比3.7%増を見込んでいるが、4~5月の塾生数は前年同期比4%強の伸びと順調な滑り出しとなっているようだ。2025年の合格実績が中学・高校・大学とすべてのカテゴリーで躍進したことにより、問い合わせ件数が大幅に伸張していることが背景にある。また、夏期講習とその後の塾生獲得に向けた広告宣伝・販促施策として、人気アニメ「鬼滅の刃」のコンテンツを活用したプロモーションを展開している。2024年は高校バレーボールを題材にした人気アニメ「ハイキュー!!」とコラボしたプロモーションが大反響を呼び、夏場以降の塾生数増加につながったことから、今回も中学部を中心に塾生数の増加が期待される。
(1) 部門別売上高と塾生数の見通し
部門別売上高は、小学部で前期比8.6%増の22,766百万円、中学部で同4.2%増の12,615百万円、高校部で同15.3%増の2,013百万円となる見通しだ。前提となる期中平均塾生数は、小学部で同4.4%増、中学部で同0.6%増、高校部で同14.1%増となる。物価や人件費の上昇に対応すべく、授業料を平均で3~4%引き上げており、塾生1人当たりの売上単価上昇も増収要因となる。高校部の平均単価上昇率は1.1%増に留まるが、これは東進衛星予備校の塾生数の比率上昇を見込んでいるためだ。非受験学年と受験学年の構成比は前期とほとんど変わらない見通しだ。
(2) 校舎展開について
新規開校については、個別進学館や、東進衛星予備校を中心に開校する予定となっている。
(3) 営業利益の増減要因
営業利益は前期比で124百万円の増加を見込んでいる。増減要因を見ると売上高の増加2,613百万円に対して、人的投資の増加1,144百万円(平均昇給率5.9%、人員増、研修・採用費の増加、従業員RS)、地代家賃の増加272百万円(新規開校、増床移転、賃料値上げ)、広告宣伝・販促費の増加296百万円、合宿費の増加174百万円(対象学年を拡大)、償却費等の増加87百万円(校舎設備、DX投資)、その他費用の増加516百万円となる。人的投資のうち、従業員RSについては総額4.5億円を期間按分して費用計上するため、2026年3月期は1.7億円が費用として認識される。
売上原価率は前期の68.9%から68.3%と0.6ポイント低下する見通しだ。増収効果によるところが大きく、原材料費率で0.3ポイント、労務費率で0.2ポイント、地代家賃率で0.3ポイント低下し、その他費用については物価上昇などを考慮して0.3ポイントの上昇を見込んでいる。一方、販管費率は前期の21.0%から21.9%と0.9ポイント上昇する見通し。労務費率で0.1ポイント上昇するほか、広告宣伝費率で0.3ポイント、その他費用で0.5ポイントの上昇を見込む。広告宣伝費は大型プロモーションの実施や50周年記念に関連した広告施策を予定しており、金額ベースでは前期比15.5%増の1,668百万円となる。その他費用は「早稲田アカデミーOnline」の機能拡充などDX投資推進による償却費の増加が中心となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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