*11:06JST デイトナ Research Memo(6):2025年12月期中間期は増収増益、新商品投入が寄与
■デイトナ<7228>の業績動向
1. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期の連結業績は、売上高7,356百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益851百万円(同10.6%増)、経常利益870百万円(同9.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益586百万円(同5.9%増)となった。期初予想(中間期)比では、売上高は102.1%、営業利益は115.4%、経常利益は115.0%、親会社株主に帰属する中間純利益は113.3%と、売上高・利益面ともに予想を上回り、特に利益面の好調さが目立った。売上面では、主力の国内拠点卸売事業は高価格帯商品の販売が前期に引き続き伸び悩んだが、商品流通面の正常化や、普及価格帯商品の販売強化等により同6.5%増の5,073百万円と堅調に伸長した。アジア拠点卸売事業は、インドネシアで1ヶ月の二輪車販売台数が日本国内の年間販売台数を上回るほど市場が拡大しているなか、キャストホイールやブレーキ関連部品等の新商品を投入して大きく売上を伸ばし、同34.5%増の1,111百万円となった。小売事業は、消費行動の変化により来店客数が緩やかに減少するも、車検や修理等のPITサービスに対する需要が堅調に推移したことで同6.0%減の1,055百万円となった。その他事業は同2.7%減の167百万円となったが、期初予想は上回った。
利益面では、各事業ともに増益を確保した。国内卸売事業は円安に対応した新商品の投入により仕入コストを抑制したことや、広告宣伝費の削減によりセグメント利益は同11.1%増の472百万円となった。アジア拠点卸売事業は増収効果によりセグメント利益が同11.5%増の258百万円となった。小売事業は、PITサービスの強化やリアル店舗の効率的な運用体制を構築したことで、セグメント利益は同23.6%増の69百万円となった。その他についてはリユース販売事業における収益重視の販売方法への転換が奏功、人員増強を図りながらも増益を確保し、セグメント利益は同7.4%増の31百万円となった。
2. セグメント別業績概要
(1) 国内拠点卸売事業
売上高は5,073百万円(前年同期比6.5%増)、セグメント利益は472百万円(同11.1%増)となった。本中間期においては、前期に見られたような流通業者での一時的な在庫調整はなく、販売面での制約はなかった。しかし、前期に引き続き高価格帯商品の売れ行きが伸び悩み、普及価格帯商品であるウェア、シューズ等のライディングギアやバッテリー等の補修消耗品の販売に注力した。新商品としてはライディングギアや補修部品、インターコム等を投入したが、円安に対応するため製造国を見直すことで仕入コストを削減して競合他社比優位な価格設定を実現し、EC販売を推進した。同社ではEコマースの強化策として、ECサイトでの販売データの分析や、各種イベント等のライダーとの触れ合いの場を通じて意見収集等を実施している。こうした取り組みにより、顧客のニーズにマッチした新商品開発を行うとともに、魅力的な価格設定を実現し、販売強化に努めた。同社によれば、新商品は2024年12月期比で1.5倍程度の売れ行きを示しているようで、今後も増収の伸びしろとして期待できる。その他ではアウトドア用品や発電機の販売が堅調に推移し増収につながった。利益面では増収効果に加えて、広告宣伝費の抑制効果等により、同11.1%増と増益となった。
(2) アジア拠点卸売事業
売上高は1,111百万円(前年同期比34.5%増)、セグメント利益は258百万円(同11.5%増)となった。インドネシア子会社では自動二輪車市場の拡大を背景に、売上・利益とも順調に伸びている。既存商品に加え、2025年12月期から投入したキャストホイールやブレーキ関連部品の売れ行きが好調で、売上全体の15%以上を占めるなど、販売増に寄与した。キャストホイールについては以前からスクーター向け商品の販売実績があったが、今回はバイク向け商品を追加した。ブレーキ関連部品については、顧客や代理店からも商品化を求められるなか、現地で商品価格に見合った仕入先を開拓できたこともあり、同社オリジナル商品として販売することとなった。デイトナブランドであることに加え、現地のニーズにマッチしたこともあって売れ行きは好調だ。また、ハイパフォーマンスではないものの、新たに一般補修品ブランド「DURA」を立ち上げて商品バリエーションを拡大したことも業績に寄与した。2024年2月に設立したフィリピン子会社は2025年12月期から営業活動を本格化し、大手代理店との取引推進による販路拡大から販売実績が伸長している。インドネシア子会社と同様に、ソーシャルメディアを活用したマーケティング活動を進めることでデイトナブランドの認知度向上策も進めており、これらの施策が売上拡大の両輪として順調に機能している。
(3) 小売事業
売上高は1,055百万円(前年同期比6.0%減)、セグメント利益は69百万円(同23.6%増)となった。リアル店舗への来店客数は緩やかな減少傾向にあり、物価高等の影響から特に高価格帯商品の売れ行きが伸び悩んでいる。小型二輪車について、前掲のとおり直近2~3年は新車販売台数の横ばい推移が続くが、一方で保有台数はここ10年増加傾向を続けている。買い替えを控え、愛車に長く乗る顧客行動の変容が読み取れるが、インフレの影響もあるだろう。同社は車検や修理、タイヤ交換等のPITサービスを強化しており、サービス品質向上で需要の取り込みを図る。また、同サービスは補修品の交換の形で物品販売にもつながるほか、ヘルメットのコーティングサービス等の付加価値サービスの提供機会ともなることから、物品販売の減少を補うものとして注力する。利益面では、PITサービスのほか、店舗ごとの業績管理やサービス提供の最適化によって、効率的な運営体制を確立したことが増益につながっている。
(4) その他
売上高は167百万円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益は31百万円(同7.4%増)となった。太陽光発電事業は、日照時間が安定したことで売電収入が堅調だったことにより、売上・利益とも前年同期並みを確保した。リユース販売事業は前期より販売方法を収益重視に転換したことや、仕入リソースの開拓が奏功したことで売上はほぼ計画どおりに進捗した。利益面では人員増強を行ったものの高い収益性を確保したことで、前年同期を上回った。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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