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米大統領選 ロムニー氏の公約は“健康保険制度廃止”だった

米大統領選挙ではオバマ大統領が再選されたが、日本の国政選挙の常識からすれば考えられないことが起こっている、と指摘するのは、かつて米証券会社ソロモン・ブラザーズの高収益部門の一員として活躍した赤城盾氏だ。米国ならではの事情を赤城氏が解説する。

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2012年のアメリカ大統領選挙は、結果的に民主党現職のバラク・オバマ大統領の圧勝に終わった。しかし、事前の世論調査はほぼ互角の大接戦であり、実際、得票数の差はごくわずかであった。さらに、同時に行なわれた下院選挙では共和党が過半数を維持した。

今回の大統領選挙では、「崖」と呼ばれるほどの厳しい財政状況の下で政策の選択肢の幅が狭まり、両候補の経済政策が厳しく対立した。オバマ・ケアとブッシュ減税のどちらを継続するか?

これは、実は、他の先進国では当たり前の医療保険制度と人口の1パーセントに過ぎない富裕層を優遇する減税との選択である。日本の常識で計れば、当然、オバマの楽勝であろう。

ミット・ロムニー候補は、日本でいうならば健康保険制度の全面廃止を公約に掲げたのである。日本の国政選挙であれば、そんなことを主張するのは、変わり者の泡沫候補に限られよう。しかし、アメリカでは、ことにアメリカ共和党では、事情が異なる。

ロムニー自身は、オバマ・ケアに先駆けて2006年にマサチューセッツ州に皆保険制度を導入した知事であり、かつては妊娠中絶も認容していたという。しかし、それでは、ティーパーティとキリスト教保守派が勢力を増す共和党の大統領候補にはなれないのだ。

今回の大統領選挙は、現在のアメリカ共和党が我々とはかけ離れた感性に支配されていることを改めて確認させられた。

※マネーポスト2013年新春号

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