全国有料老人ホーム協会の調べ(2014年)によると、介護付き有料老人ホームの入居者の平均年齢は、85.7歳で、平均入居期間は3~4年とされている。80歳前後で入居し、晩年のわずかな期間を施設で過ごすという人が多いようだ。
しかし、それが親と子の両方にとって本当にベストと言えるのだろうか。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏はいう。
「親に衰えが見えなくても、たとえば75歳になったら、80歳になったらという節目で介護認定の調査を受けるべきです。介護認定が出たら、すぐに有料老人ホームへの入居を検討した方がいい。75歳を過ぎると要介護度の進み具合が早くなるからです。そうなると子供が自宅で親の介護をするのは難しくなる」
だが、75歳の時点で入居を決断できないケースも多い。それ以降で入居のタイミングを考えるときに着目すべきなのが、入居一時金が下がるポイントだ。介護ジャーナリストの横井孝治氏は次のように解説する。
「有料老人ホームの一時金は安いところだと300万円から1000万円くらいで、富裕層向けだと3000万円から1億円といわれています。
入居時の年齢が高ければ高いほど5歳刻みで一時金が安くなるホームというのもある。そういったところは75歳以下だと約1000万円だったのが、5歳上がるごとに300万円ずつ下がるといったプランが目立ちます」
つまり、76~79歳の間で入居すると、80歳で入居するより300万円損してしまうため、あえて80歳まで入居を待つのも一つの節約法ということだ。
5歳刻みで訪れるチャンスを逃さないよう、親の要介護度を子供が把握しておくことも大事だ。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号