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【注目トピックス 日本株】井関農 Research Memo(6):抜本的構造改革と成長戦略で高収益を目指す(1)

*13:06JST 井関農 Research Memo(6):抜本的構造改革と成長戦略で高収益を目指す(1)
■井関農機<6310>の中期経営計画

2. プロジェクトZの詳細
「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」という3つの抜本的構造改革及び欧州を中心とした海外事業と国内での「大型」「先端」「環境」「畑作」といった成長分野における成長戦略については以下のとおりだ。

(1) 抜本的構造改革
1) 生産最適化
生産の効率化と平準化を進めて生産性を向上するとともに、製品組み立て拠点を集約して棚卸資産と固定資産の圧縮を実行する。具体的には、2024年7月に井関松山製造所と井関熊本製造所を経営統合したが、今後、井関松山製造所にこれまで井関熊本製造所で生産していたコンバイン及び井関新潟製造所で生産していた田植機の生産を移管する計画だ。なお、経営統合後の新社名をISEKI M&Dとし、井関熊本製造所での生産は2025年12月期末に終了する予定である。このほか、油圧機器の生産を井関松山製造所から井関新潟製造所に移管、松山製造所で生産していた中小型トラクタなど海外向け製品の生産をPT.ISEKI INDONESIAへ移管する。こうした製造拠点の集約と海外生産拠点の増強を2030年までに完了する計画だが、2030年までに最適化に伴う新設・更新投資で、当初総額460億円を予定していた(進捗については後述)。

2) 開発最適化
開発の効率化と製品利益率の改善を目的に、成長率と市場規模の2つの軸によって開発する機種・型式を30%以上削減するとともに、グローバル共通設計の導入を図る。機種・型式の集約に関しては、2024年12月期中で一部対象の選定を完了しており、今後は選定をさらに加速しつつ、集約するフェーズへと移行する計画だ。また、需要が減少傾向にある小規模農家向け製品の安定した市場供給を目的に、ヤンマーアグリ(株)との間で山間地や小規模区画向けの小型農業機械を相互にOEM供給するアライアンスを締結した。なお、生産最適化と開発最適化を実行することによる営業利益増益効果として、2027年12期までに約35億円(2023年12月期比)を見込む。

3) 国内営業深化
在庫拠点の最適化や物流体制の見直しによる経営効率の向上、ノウハウの共有強化による顧客拡大と提案力強化などを目的に、国内広域販売会社の経営統合を行った※。販売会社統合に伴うコスト削減などにより、2027年12月期までに15億円程度(2023年12月期比)の営業利益の創出を見込む。こうした経営統合のなかで目玉となるのが、農業の大規模化に対応するための専門部署として新設された「大規模企画室」で、効率化やシナジー創出を通じて成長戦略へつなげていくことも目的としている。

※ 2025年1月に、ヰセキ北海道、(株)ヰセキ東北、(株)ヰセキ関東甲信越、(株)ヰセキ関西中部、(株)ヰセキ中四国、(株)ヰセキ九州の国内販売会社6社及び三重ヰセキ販売(株)、井関農機営業本部を統合し、ISEKI Japanに社名を変更した。

4) 人員構成の最適化と経費削減
抜本的構造改革と同時並行で、間接部門のスリム化や希望退職の募集などによる人員構成の最適化及びエンゲージメントの向上や成長分野への人材配置など、人的資本投資を進める。人的資本投資では、成長分野への人材の配置転換や市場競争力を高めるための教育研修の充実を進めている。加えて、組織や業務の統合による効率化で、運営経費も徹底して削減する予定だ。人員構成の最適化と人的資本投資によって2027年12月期までにネット10億円程度(2023年12月期比。3つの抜本的構造改革の内数)、経費削減によって10億円程度(同)の営業利益の創出を見込む。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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