*11:01JST 鎌倉新書 Research Memo(1):2025年1月期は売上高・営業利益が過去最高。株主還元策も大幅強化(1)
■業績動向
1. 2025年1月期の業績概要
鎌倉新書<6184>の2025年1月期の連結業績は、売上高7,061百万円(前期比20.5%増)、営業利益910百万円(同11.6%増)、経常利益907百万円(同11.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は687百万円(同29.5%増)と増収増益となった。また調整後EBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却費+長期前払費用償却+株式報酬費用)は1,144百万円(同20.1%増)となった。売上高・営業利益及び調整後EBITDAは過去最高を記録したが、期初計画に対する達成率は、売上高は97.4%、営業利益82.8%、経常利益82.8%、親会社株主に帰属する当期純利益は89.3%、調整後EBITDAは86.0%といずれも未達であった。
売上面では、供養3事業(葬祭、お墓、仏壇)合計で前期比11.9%増と引き続き好調で、特に葬祭事業はマーケティング施策が奏功して同23.6%増と業績をけん引した。そのほか、子会社の(株)エイジプラスが展開する介護事業では2024年11月に子会社化したユウテル(株)の連結効果が現れ、官民協働事業では提携自治体数が前期比で92自治体増加し、提携自治体の人口カバー率が59.1%となった。一方、アセットマネジメント事業は同2.4%増と増収ではあったが、オンライン集客の競争激化により伸び悩んだ。利益面では増収効果に加え、各事業において横断的に広告費の効果的支出対策を実施したことで、売上高に占める広告宣伝費の割合は24.3%と前期比2.4ポイント減少し、利益を押し上げた。将来の成長に向けた施策としては、M&Aと並行してシステム面の改善対応(事業ごとの顧客情報管理について顧客データベースを基軸に統合)を継続した。
2. 2026年1月期の業績見通し
2026年1月期の連結業績は、売上高8,600百万円(前期比21.8%増)、営業利益1,150百万円(同26.2%増)、経常利益1,145百万円(同26.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益770百万円(同12.0%増)、調整後EBITDA1,440百万円(同25.8%増)と増収増益を見込む。引き続き供養3事業の安定成長を図るほか、子会社化したベル少額短期保険(株)と既存子会社である(株)鎌倉新書ライフパートナーズとの保険分野での協業、同じく子会社化したユウテルとの介護分野における協業、官民協働事業の推進等によって目標達成を目指す。
2026年1月期の注力事業として、アセットマネジメント事業、介護事業、及び官民協働事業の3つがある。アセットマネジメント事業は、オンライン集客の競争激化で2025年1月期は紹介数が減少したが、2025年1月期下期から開始した税理士や行政書士等との提携強化のほか、オペレーション改善施策等を実施し、事業基盤拡大や成約単価や成約率の向上に寄与しはじめており、2026年1月期はその継続による業績改善が予想される。介護事業についてはユウテルとの協業に期待がかかる。同社が強みとするオンライン集客とユウテルの得意とする顧客との対面面談によるきめ細かい対応が組み合わさることで、成約率の向上が見込める。介護施設紹介事業の市場は、オンライン型に比べて対面型の占める割合が全体の9割程度と圧倒的に高く、かつオンライン・対面双方をハイブリッドに展開している事業者は少ない。同社は提供サービスの質の向上と、成約率の上昇によるシェア拡大を狙う。官民協働事業については、主力の「おくやみハンドブック(逝去後に必要な各種手続き等をまとめた冊子)」が好評で新規提携だけでなく他社からのリプレイスも進んでいるほか、死後に必要な手続きの窓口業務(おくやみコーナー)の受託や終活セミナーの開催に関して自治体からの引き合いが増加している。こうした需要を取り込むことで2026年1月期は、終活セミナーは100自治体以上の開催を目指し、前期比で高い水準の利益目標を掲げる。また、各事業における増収効果に加え、2025年1月期に一定の成果を挙げた広告運用の最適化をさらに強化する。特に、葬祭事業で成果のあった施策を他事業にも適用して効果を検証し、カスタマイズすることで高い成約率につながる広告運用を図る。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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