*13:03JST アートネイチャ Research Memo(3):髪に課題を抱える人に様々な商品・サービスを提供(1)
■アートネイチャー<7823>の事業概要
1. サービス内容
同社は40代~60代男性や60代~80代女性のなかで「髪を増やしたい」人を主要な顧客層に、オーダーメイドウィッグや既製品ウィッグ、増毛商品、医薬品などを提供している。ほかに「髪を育てたい」人には育毛ケア・サービス、「髪を整えたい」人にはアフターサービス、「美しく健康でありたい」人にはヘアケア商品や健康食品など、髪に関する課題を抱えている人からおしゃれを楽しみたい人まで、一人ひとりの様々なニーズに対応した商品・サービスを提供している。事業展開の方向性としては、国内では、主要事業を安定的に伸ばすとともに、第2の柱となる事業を育成するため新領域への進出を図っている。海外では、フィリピンを製造拠点※に、東南アジアなどでブランドの認知拡大に向けた取り組みを進めている。
※ 2026年3月期中にバングラデシュで新工場が稼働予定。フィリピン一国に生産を集中していたリスクの回避や今後の事業拡大を考慮した。
(1) オーダーメイドウィッグ
創業以来、同社商品ラインナップの中心となっているのが、「アートネイチャー」「レディースアートネイチャー」ブランドのハイエンドなオーダーメイドウィッグである。顧客一人ひとりの要望、毛髪の状態に合わせ、最適な製品をハンドメイドで製造しているが、快適で手軽なつけ心地を実現するには、頭部にフィットするベースネットの型取りが最も重要な作業となる。このため、スタッフは顧客の要望をしっかり把握したうえで頭部の形状を計測するが、2006年に業界初の「3D型取りシステム」を導入したことで、素早く高精度な測定が可能となった。これにスタイルやカラーなどの様々なオーダーを加えたデータを海外の自社工場に送信、工場では送られてきたデータをもとにベースネットを作成する。次に熟練した職人によってベースネットに1本1本丁寧にすべて手作業で植毛し、髪色から毛流れまで自然なウィッグに仕上げている。顧客の手に届くまでに手間と時間を必要とするため、価格は50万円~60万円と比較的高額※だが、自身の髪のような自然な仕上がりと抜群のフィット感を実感できるのは、ハイエンドのオーダーメイドウィッグならではの特長といえる。なお、使用期間は個人の状況によって異なるが、おおむね2年となっている。現在の男性用主力ブランドは、「ネイティブフロント加工」「引き抜き植毛」に加え、毛穴までリアルに再現し、新開発の柔らかい人工皮膚で短髪も可能となった「レクア リアル」である。女性用主力ブランドは、ベースネットの周りに360度配置された細かいフックによって、ピンを使わずに細い髪でもしっかりとめることができる「ジャスミー ラウンドフィット」である。
※ 価格に関しては一人ひとりの状況によって異なる。
(2) 既製品ウィッグ
気軽にヘアスタイルを楽しみたい顧客に対し、男性向けに「MJO(エムジェイオー)」、女性向けにハイエンドウィッグの「ジュリア・オージェ」とスタンダードウィッグの「NAO-ART(ナオアート)」、医療用ウィッグには「ANCS(アンクス)」というブランドで、オーダーメイドウィッグで培った高い商品開発力を生かした既製品ウィッグを提供している。「MJO」では、10万円〜30万円台後半の手ごろな価格で良質な既製品ウィッグを提供している。首都圏のターミナル駅近くに5店舗を展開し、髪色や大きさの異なる既製品ウィッグを豊富に取り揃えているだけでなく、サイズや毛量などパターン化されたパーツを組み合わせたセレクトオーダーウィッグも取り扱っている。また、「ジュリア・オージェ」は、全国の百貨店やショッピングモールを中心に店舗で展開しており、高品質でオリジナルスタイルの既製品ウィッグを10万円台からという購入しやすい価格で提供している。「NAO-ART」では、「ジュリア・オージェ」より手ごろな価格帯の既製品ウィッグを扱っており、首都圏をはじめ主要都市にある総合スーパーを中心に出店している。「ANCS」では、素肌に優しい素材を採用し、毛量やサイズ調整も可能な医療用ウィッグを、全国のオーダーメイドウィッグ店舗や「ジュリア・オージェ」店舗、病院内のヘアサロン「アンクス」などで販売している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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