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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】VIS Research Memo(4):ibVISを活用して自社パイプライン開発もスタート

*12:04JST VIS Research Memo(4):ibVISを活用して自社パイプライン開発もスタート
■Veritas In Silico<130A>の事業概要

3. パイプライン型ビジネス
パイプライン型ビジネスは、ibVISを活用してmRNA標的低分子医薬品や核酸医薬品を自社で創出するビジネスである。同社は、数千あった遺伝子候補のなかから、高い将来価値が見込まれるもの、販売開始までの研究開発期間が相対的に短いと見込まれるものなどを選定基準として候補を3個にまで絞り込んだうえで、自社パイプラインの1本目のモダリティは核酸医薬品、対象疾患は心臓血管手術後に惹起される虚血性の急性腎不全と定めたと2025年6月に公表し、自社創薬研究を開始している。

また、同社は三菱ガス化学と核酸医薬品の創出及び製造方法確立を目的とする共同研究契約を締結し、今後3年間を予定する研究期間内に、Quality by Design(QbD)に基づく長鎖RNA※1標的に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO※2)の創薬に取り組み、開発候補ASO化合物の取得と製造方法の確立を目指すと、2025年7月に公表した。この共同研究において、同社は自社独自の創薬プラットフォームibVISを活用して開発候補ASO化合物を取得する。また三菱ガス化学は、開発候補ASO化合物の製造方法の確立を担い、本件共同研究により得られた成果物は、主に同社が権利を保有、三菱ガス化学は一部を保有するとしている。

※1 長鎖RNA:おおよそ長さ300塩基以上のRNA分子のことで、タンパク質の合成やそのほかの細胞機能に重要な役割を果たす。mRNA、プレmRNA、ロングノンコーディングRNAなどの種類がある。
※2 ASO:Antisense oligonucleotideの略。アンチセンスオリゴヌクレオチド(アンチセンス核酸)。核酸医薬品の一種。一本鎖のDNAやRNAからなり、相補的な配列をもつmRNAに結合して主にタンパク質の合成(翻訳)を制御する働きを持つ。ASOに安定性や機能などを追加することを目的として様々な化学修飾を導入することができる。

この共同開発で特筆すべきポイントは、QbDの考え方を研究初期段階から採り入れる点が挙げられる。QbDとは、製品設計の段階から製造コストにかかわる製造のしやすさや品質の高さを意識した製品を作り出すという、医薬品以外の製造業では一般的な考え方である。医薬品業界では、これまで製品(医薬品)の「性能(効果)」が最優先され、製造のしやすさや製造コストは、特に製品全体に占める製造コストの比率が低い従来の低分子医薬品では見過ごされる傾向があった。しかし、抗体医薬品のように製造コストが高く、製造コストが製品価格に占める割合が一般的な製造業と同程度となる医薬品が出てきており、製品設計の段階から製造を見据えるQbDの重要性が高まっている。そのため創薬研究と並行して、ASOの商業製造に必要な製造方法・工程の開発も進めている。これにより、高活性・低毒性という医薬品としての性能に加え、商業製造における品質の信頼性と低コスト化を早期に確立することを目指している。また、迅速な臨床試験への移行を可能にするだけでなく、製品の市場導入を円滑に進めることを目的としている。

この三菱ガス化学との共同研究で開発されるASOについて同社は、自社パイプライン創出の2本目(2026年度分)に相当するものとなる予定としている。

プラットフォーム型ビジネスとパイプライン型ビジネスの2つを収益源とするビジネスモデルがハイブリッド型ビジネスであるが、経営理念の実現へ向けてスペシャリティファーマになるという最終目標に向けた実行段階に入ったと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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