閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
FiscoNews

【注目トピックス 日本株】平山 Research Memo(8):2026年6月期は外部環境の不透明感があるなかでも増収増益を見込む

*12:08JST 平山 Research Memo(8):2026年6月期は外部環境の不透明感があるなかでも増収増益を見込む
■平山ホールディングス<7781>の今後の見通し

1. 2026年6月期の業績見通し
2026年6月期の連結業績は、売上高で前期比4.3%増の37,770百万円、営業利益で同5.6%増の1,341百万円、経常利益で同3.7%増の1,349百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.9%増の883百万円と15期連続増収、各利益段階でも増益が続く見通しだ。米国の高関税政策による国内の自動車及び半導体・電子部品業界に与える影響を保守的に見積もったうえで、増収増益基調を堅持する計画とした。引き続きインソーシング・派遣事業がけん引するほか、技術者派遣事業も人材採用が順調に進んでいることから増収増益を見込む。人材採用関連の費用増が引き続き見込まれるが、2025年12月にFun to Funを平山に吸収合併する予定となっており、拠点統廃合等によるコスト削減効果を見込んでいる。

(1) インソーシング・派遣事業
インソーシング・派遣事業の売上高は、前期比5.2%増の30,913百万円、営業利益は同15.1%増の2,129百万円と増収増益が続く見通し。売上高は主力の自動車部品、医療機器関連が堅調に推移するほか、注力分野である半導体・電子部品業界の増加を見込んでいる。また、幅広い業界でニーズの強いフィールドエンジニアの育成に注力し、売上拡大を目指す。インバウンド関連業界向けについては、高水準の需要が続くものの前期比横ばいで見込んでいる。

利益面では、請負現場の改善活動による生産性向上に加えて、派遣単価のアップ、高単価案件(フィールドエンジニア)の拡大、Fun to Funの吸収合併によるコスト削減効果により、2ケタ増益となる見通しだ。Fun to Funでは国内に9ヶ所の事業所を展開していたが、段階的に平山の拠点に統合を進めており、2026年1月までに統合を完了する予定だ。合併の目的は拠点等を含めた重複事業の集約化による経営の効率化、ガバナンス強化、法人管理コストの低減に加えて、平山の請負ノウハウを活用して、物流、食品、店舗請負の拡大を図ることにある。Fun to Funでの販管費は2025年6月期で約8億円の水準となっており、これら費用の削減や効率運用によって中期的な収益力強化につなげていく。

人員採用については、新卒採用で606名(前期501名)、中途採用で3,963名(同3,440名)を目標としている。このうち、フィールドエンジニアについては170名(同71名)と2.4倍に増強する計画だ。採用力の強化施策として、ブランド構築強化や採用チャネルの拡大、テレビCMやSNS広告による認知度向上活動を進めていく。2025年7月には沖縄県に初進出し、採用センターを開設するなど採用エリアの拡大も進めている。また定着率向上の取り組みとして、無期雇用をベースに安心、安定した雇用の提供や、キャリア形成、キャリアチェンジにつながる環境・機会の提供、社内コミュニケーションの活性化による明るく楽しい職場づくりなどを推進する。なお、営業拠点(研修センター含む)に関しては2~3拠点の新設を予定している。

(2) 技術者派遣事業
技術者派遣事業の売上高は前期比7.1%増の3,320百万円、営業利益は同9.0%増の109百万円と増収増益を見込む。継続的な既存領域の技術者ニーズに対応しつつ、DXの加速を背景にIT分野の派遣を拡大していく。既存技術者を対象に技術研修を強化し、ITエンジニアやクラウドエンジニア、インフラエンジニアへのスキルアップ及びスキルシフトを進めるほか、同分野での中途採用並びに顧客獲得に注力する。人員採用数については新卒で90名(前期54名)、中途採用で130名(同62名)と大幅増を計画している。前期は採用に苦戦し業績未達要因となったが、前期に採用体制の強化を図ったこともあり、現段階までの採用状況は順調に進捗しているようだ。また技術者のスキルに見合った高単価案件を多く受注することで、定着率の向上を図る。

なお、2025年7月にトップエンジニアリングが、国内に在留する外国籍エンジニアに特化した人材紹介サービス「ARIGATO WORK」事業を平山から譲受しており、顧客企業の多様なニーズに応えることで相乗効果を創出していく考えだ。「ADIGATO WORK」は2020年よりサービスを開始し、登録エンジニア数は月300人超のペースで増加中で、2025年7月末時点の累計登録者数は12,863人(93ヶ国)となっている。

(3) 海外事業
海外事業の売上高は前期比7.6%減の2,224百万円、営業利益で同54.2%減の27百万円と減収減益を見込んでいる。タイにおける自動車生産が輸出の不振で低迷が長引いており、2026年6月期も利益確保を優先した受注活動とローコストオペレーションを進める方針だ。なお、為替前提レートは前期の4.41円/THBに対して4.10円/THBと円高を想定しているが、足元は4.6円/THB前後で推移しており、今後も同水準が続けば業績の上振れ要因となる。

(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比1.0%減の1,312百万円、営業利益は同25.9%減の274百万円と保守的に減収減益を見込む。コンサルティング事業は工場立ち上げ支援案件※やAI・IoT関連企業との協業案件の増加による増収が見込まれるが、前期に大型スポット受注のあった平和鉄工所の業績が反動減で落ち込むことが主因だ。外国人雇用管理サポート事業については、期末受託人数で前期末比120名増の1,724名を目標とし、売上高は増収基調が続くものの、外国人技能実習生の受け入れ期間(3年間)が到来する人数が多い年に当たり、技能実習生の入れ替えに係るコスト負担増により、利益面では横ばい水準を計画している。

※ 問い合わせ実績として、2024年6月期の4件に対して、2025年6月期は12件と増加傾向が続いている。

なお、外国人の就労支援サービスを行う平山GSでは、2025年3月にインドネシア国立ディポネゴロ大学及びインドネシアの日本語学校と3者間で、「日本でエンジニアとして就労を希望する工学部学生向けの日本語講座の運営及び日本への受入に関する協定」を締結し、「INDONESIA-JAPAN ENGINEER PROJECT (IJEP)」を立ち上げた。日本での就労を希望する学生に対して、無償で日本語講座を開講し、エンジニア教育を施すことで、卒業後にスムーズな就労機会を提供するとともに、日本企業のグローバル化を支援していく。同社では2018年にミャンマーのマンダレー工科大学と同様の協定を締結しており、今回で2ヶ国目となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

<HN>

fisco

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。