*11:32JST IC Research Memo(2):情報サービス分野における総合的ソリューションを提供
■IC<4769>の会社概要
1. 会社概要
1978年に東京都渋谷区で事業を開始した同社は、「情報処理のサービスを以て、社会に奉仕します」「企業の理念に賛同、ご投資いただいた株主様に奉仕します」「組織と共に成長を続ける社員に奉仕します」の3つの経営理念を掲げている。1990年の茨城営業所(現 茨城センタ)開設に始まり、2021年10月に(株)シルク・ラボラトリと(株)フィートを、2025年4月には(株)日本画像配信を子会社化するなど、順調に業務を拡大してきた。
同社グループはソフトウェア開発からインフラ設計構築・システム運用支援までをトータルにサポートするITソリューション事業と、自社製サービスの開発によって多様なITニーズにダイレクトに対応するITサービス事業の2つの事業区分を通じて、情報サービス分野において総合的なソリューションを提供している。
主力事業はソフトウェアソリューションとインフラソリューションの2本柱からなるITソリューション事業である。同事業の売上高の約4割は、成長分野である「情報・通信・メディア」が占めており、安定した収益基盤を構築している。また、顧客からの信頼に基づく高いリピート率も特徴だ。同社顧客の大半は取引継続年数が3年以上である。加えて、100社を超えるパートナー企業との協業によって、安定した受注体制を構築することにも成功している。また、近年では2022年10月に策定した長期ビジョン「VISION 2031」の下、付加価値の高い企画提案型ソリューションの確立を推進しており、収益性の向上に注力している。
2. 事業内容
(1) ITソリューション事業
開発や設計などの業務を請け負って完了後に納める「一括請負型」と、顧客のオフィス等に人材を常駐させて求められる役務を提供する「役務常駐型」の2種類の受注形態で事業を展開している。人材に関しては、パートナー企業と協力し、パートナー企業の技術者がスキルアップできる環境づくりやチーム化などを通じて安定した開発環境を整えるなど、体制の強化を図ることでの高品質化にも注力している。同社の場合、大手開発会社と比較して中間マージンがかからないため、適切な金額で質の高い製品・サービスを提供できている点や、独立系の立場を生かして、様々なメーカー製品の中から顧客ニーズに合わせた提案が可能である点、納品後のメンテナンスや改修など、アフターフォロー体制における小回りの利く対応が可能である点が強みである。
(a) ソフトウェアソリューション
主にユーザーの事業所内に常駐してソフトウェア開発などを行う業務と、同社内でユーザーのソフトウェア開発などを行う業務を展開している。顧客は民間企業から公共団体まで多岐にわたり、業種を問わずWeb系、汎用系、組込系などのシステム開発、統合パッケージソフトの導入支援、システム統合、システムコンサルティングなど各種サービスを提供している。
(b) インフラソリューション
主にユーザーの事業所内に常駐して情報システムのオペレーション作業及び運用管理、サーバやネットワークをはじめとするインフラ設計構築などを行っている。開発後のシステムのオペレーション作業及び運用・管理という性質上、安定的にニーズが発生する業務であり、同社に安定した収益をもたらす事業基盤であると言える。
(2) ITサービス事業
各種業界のニーズに合致した自社製パッケージソフトウェアの開発、販売及び導入支援を行っている。主力サービスとして、チケットWeb販売・管理システム「チケット for LINE Hybrid」、連結子会社であるフィートによる聴覚障害者コミュニケーション支援アプリ「こえとら」及び「SpeechCanvas」、騒音環境から目的エリアの音声をクリアに吸い取る機能的な音響装置「Sound Pipette(TM)」などの提供を行っている。長期ビジョン「VISION 2031」では、新規ITサービスの創出に注力し、営業利益に占める同事業の割合を将来的に3割程度まで高める方針を掲げている。この目標達成に向けた施策として、座席なし施設予約に対応した「らくらく入場サービス HINORI」、スポーツ選手に特化したタレントマネジメントシステム「iDEP(イデップ)」を新たに開発し、事業化した。これらのサービスのさらなる事業拡大に注力しながら、同時に新たなサービスの創造にも継続して取り組む方針だ。
a) 「チケット for LINE Hybrid」及び「らくらく入場サービス HINORI」
「チケット for LINE Hybrid」は、大手イベントプロモーター及びメディアのイベント事業部におけるチケット予約・発券・販売システムの実績を基に、自社開発したSaaS型サービスである。LINEと連携したプッシュ通知によるプロモーションや、QRコードで発行された電子チケットによる非接触での入退場を実現した。同サービスは、これまでIT化が進展しにくかった小規模イベントや公共団体でのイベントでの活用に注目されている。アフターコロナに移行した現在は、イベント開催にあたり営業・マーケティング体制も積極的に強化しており、導入企業数は順調に推移している。また、2023年10月には、「チケット for LINE Hybrid」の派生サービスとして「らくらく入場サービス HINORI」をリリースした。同サービスは、座席のない施設向けの予約サービスであり、温浴施設、フィットネスクラブ、美術館など多岐にわたる施設で導入が進んでいる。今後は顧客企業のニーズを反映しながら機能拡充を図り、同サービスの訴求力と提供価値を高めていく。
b) iDEP
「iDEP」は、IDP(Individual Development Plan:個人の能力開発計画)メソッドを基盤とした能力開発支援システムである。単なる管理ツールではなく、ユーザー自身が日々の行動や成果を記録し、定期的な振り返りを行うことで、能動的な成長サイクル(PDCA)を確立する。選手や社員一人ひとりが自らの課題を明確化し、長期的な視点で能力開発を「自走」させる仕組みを提供している。現在、サッカープロクラブのアカデミーをはじめとする、ユース・ジュニア世代の育成現場を中心に導入が進んでおり、若年層からの体系的な人材育成ツールとして活用されている。サッカーに加え、バスケットボール、ラグビー、テニスなど競技特性を問わず適用可能な仕組みとして認知が進んでいる。また、スポーツ分野にとどまらず、教育分野においても主体的な成長を促すツールとしての展開も考えられ、今後注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
<HN>