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米利上げでディフェンシブ銘柄急落に注意! 小型材料株&内需グロース株相場が始まった

今の日本株を取り巻く投資環境を、歴戦のファンドマネージャーはどう見ているのか。これまで国内小型株中心の運用で「R&Iファンド大賞」を4年連続で受賞した「ひふみ投信」の運用責任者・藤野英人氏は、「いよいよ投資家の実力が問われる相場になってきた」という。

東芝の不適切会計問題に代表されるように、「大企業だから安心して投資できる」時代は終わろうとしている。そうしたなかで、いかにして魅力的な投資対象を探せばよいのか。「伝説のファンドマネージャー」が、日本株投資の新常識を指南する。

これまで好調だった外需の大型株に暗雲

いま日本株を取り巻く環境に大きな転換が起き始めている。

アベノミクスを機に2012年末から日本株は大きな上昇を見せてきたが、ここにきて肝心の安倍内閣の支持率が低下。高い支持率を背景に数々の政策を打ち出してきたアベノミクスも危うさが漂い始めている。海外に目を向けると、ギリシャ問題は落ち着きを見せているものの、中国市場の混乱は収まらず、米国の利上げも控えて、しばらくはポジティブな材料も出てこないだろう。

それら国内外の要因を考えていくと、当面は日本株も指数全体が大きく上がる状況ではないと見ている。特に厳しいと見られるのが、円安を追い風にこれまで相場を牽引してきた外需の大型株だ。為替もここまで円安に振れてくると、さすがにここからの一段安は考えにくく、1ドル=120~125円のボックス圏で推移する可能性が高い。何より中国の景気減速で需要が弱まっている自動車や機械、建設機械などのセクターは懸念材料が山積みとなっている。

一方で内需はどうかというと、設備投資は更新需要で堅調、消費もさほど悪くない。まして国内景気が傾こうものなら、補正予算や日銀の追加金融緩和「黒田バズーカ第3弾」まで予想されるため、今後も堅調と見ていいだろう。ただ、内需の大型株にはある大きな問題が潜んでおり、この先、注意が必要となりそうだ。

米利上げを契機に「最小分散投資」終了へ

内需の大型株に何が起ころうとしているのか。順を追って説明したい。これまで世界的な低金利が続くなか、債券主体で運用する国内外の債券ファンドマネージャーは、金利だけではパフォーマンスを上げられなくなり、債券に類似するような高配当で値動きの小さい株式に目を向けるようになった。自分たちの主戦場ではない株式市場にこぞって参戦してきたのだ。

このような価格変動リスクを抑える投資手法を「最小分散投資」というが、それによって世界中で食品や薬品といった、いわゆるディフェンシブ銘柄に買いが集中。彼らの資金量は株式ファンドをはるかに上回るため、国内ではそれまで目立った値動きのなかったエーザイやアステラス製薬などの薬品株、JTやキッコーマンなどの食品株が大きく上昇した。特に今年前半は、とてもディフェンシブとはいえないほど派手な値動きを見せてきた。

問題は、ここから先である。本来、債券市場を主戦場にしてきた彼らは、金利が上昇すれば債券に回帰して、最小分散投資から手を引く可能性が高い。そのきっかけとなるのが、米国の利上げにほかならない。米国の金利が上昇してくれば、全世界の債券ファンドマネージャーがこれまでさんざん買い上げてきたディフェンシブ銘柄を投げ売りし、暴落の恐れすら出てくるのである。すでにその兆候は6月くらいから見え始めており、いざ米利上げが実施されれば、一気に株価が急落する可能性もあるので、くれぐれも注意しておきたい。

東芝問題を予見していた「伊藤レポート」の重要性

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今後、大型株中心の指数に大きな上昇が望めず、膠着状態が続くようだと、銘柄選択にも工夫が必要となってくる。そこでいよいよ出番を迎えるのが、これまで出遅れていた小型材料株ではないか、と私は見ている。何しろディフェンシブ銘柄をはじめ大型株がこの半年から1年間、値を飛ばす一方で、小型材料株はパフォーマンスが冴えなかった。その分、物色の動きが高まれば、大きな反騰が期待できるだろう。

もちろん、小型材料株と一口にいっても、本当に魅力的な銘柄を探し出すのは容易ではない。そこで、まず注目したいのは、これまで相対パフォーマンスのよくなかった銘柄。例えば、TOPIX(東証株価指数)の値動きを下回っている銘柄のなかから、今後も持続的な成長が期待できそうな「内需グロース株」に注目したい。たとえばeコマース(電子商取引)分野。ネット取引市場が今後拡大していくのは間違いなく、景気動向に左右されず利用者数は増加の一途をたどるだろう。あるいは堅調な消費を背景にアパレルなどもこれまで株価が停滞していた分、今後に期待が持てる。

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