推薦入試にシフトする大学側の思惑とは(イメージ)
今や大学入試の多くが総合型選抜など推薦入試となっている。一般的に推薦入試は課外活動などの学業以外の実績が評価される印象も持たれているが、実態は違うという。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏が欧米の大学入試と比較しながらレポートする。【全3回の第1回】
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「今後の日本の大学受験は、推薦中心にシフトしていく」。こういったことを述べると、「それは駄目だ! ペーパー試験こそ学力を公平に測れる入試だ」と反発してくる人たちがいる。ただ、大学側が推薦入試を拡大させるのは「一発勝負のペーパー試験ではこれからの時代に必要な能力は測れないから」などという緩くてふわっとした理由からではない。
少子化が進めば受験生が減り、単に一般選抜では選抜ができなくなるからだ。すでに私立大学の過半数が定員割れしている。
ある名門女子大の一般選抜の倍率はほぼ1倍で、受験した学生はほぼ全員が合格だ。つまり一般選抜はボーダーフリーである。しかし、名門女子大としての知名度やブランド力があるため、指定校推薦で学生が集まる。指定校推薦は「評定平均値いくつ以上」という要件があるから、指定校推薦で入学する学生たちの学力はボーダーフリーではない。
つまり、学力が少しでも高い学生を確保しようとするなら、一般選抜より推薦の方が効率的なのだ。将来的には、すべての大学で一般選抜より推薦入試の方が学力の高い学生が入ってくるようになる。ゆえに、大学入試は推薦入試中心の時代になっていくのである。
