アメリカ、韓国、中国などでは既に5G(第5世代移動通信システム)サービスが開始されており、日本でも来春にはサービスが始まる見込みである。
アナリストたちによれば、5G本来の持つ能力を十分生かすスマホが発売されるのは2020年春以降となるようで、次のiPhone新製品が発売されるだろう2020年9月あたりが大きな転機となりそうだ。
そうした点を考慮すると、5G関連企業の業績が大きく好転する時期はまだ先となりそうだが、中国では少し意外な企業が注目を集めている。
そのひとつが、北京市を中心に雲南省、湖北省、河北省などで自動車教習所を経営する東方時尚(603377)(*滬港通では取引できない本土A株銘柄)である。8月8日の終値13.77元をボトムに株価は上昇、国慶節休場直前となる9月30日の終値は21.94元と2か月弱の間に59.3%上昇している。この間の上海総合指数の上昇率は4.0%に過ぎず、同社の株価は指数を大きくアウトパフォームしている。
同社は、中国の建国記念日・国慶節に関連して注目すべき材料があった。今年の国慶節は建国から70周年目に当たり、10月1日には大規模なパレードが行われたが、兵器に加えて、カラフルなパレード車が多数の群衆とともに行進するといった演出が行われた。その演出の重要な役割を占めるパレード車、70組、96輌の運転手の訓練を請け負ったのが同社である。
4月から訓練を開始し、225名の運転手の教育を担当するといった大掛かりなプロジェクトであった。パレード車の中には、全長40メートル、幅12.7メートルといった巨大な乗り物もあったが、そうした運転の極めて難しい物は同社の指導員が“操縦”したそうで、これが非常に大きな宣伝効果を生んだようだ。