コロナ禍が収まらない中、SNS投稿に関して、大きな変化が起こっている。コロナ前は各ユーザーが楽しげな日常や、仲間との集い、旅先の様子などを報告していたのだが、それがためらわれる状態になっているのだ。その様子を日々、実感しているという佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者・中川淳一郎氏が報告する。
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昨年11月に唐津に引っ越しましたが、以後、東京や名古屋、福岡などの大都市から続々と人々が訪れてくれています。多分累計100人ぐらいになっているでしょう。ここで「コロナを地方にバラまくのか!」という批判が出ることは承知していますが、現実問題として、誰一人として陽性にはなっていませんし、佐賀県はコロナ対策面において非常に優秀な県です。私自身もPCR検査をしていますが陰性でした。
そもそもこの記事は、コロナ禍での旅行の是非について考えるものではないので、その議論はひとまず横に置かせてください。今回、考察したいのは「コロナとSNS」についてです。
県外から私の元に来てくれた人の大多数は、そのことをSNSで報告しません。彼らは「中川さんも公開しないでね」なんてことは言わぬまでも、こちらも当然「ぜひ公開してよ」と言う人以外は公開しないようにしています。
大都市は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されているケースがほとんどのため、県外に出ることが「不謹慎」「ルール破りの不届き者」といった風潮になっており、旅行をしたことを対外的に言えない状態になっているのです。
ですから普段はツイッターやフェイスブックやインスタグラムを更新しまくっている人の更新がパタリと止まる状態が発生します。もしも頻繁に更新する人が更新しなくなったら、どこかに遊びに行っているのかもしれません。
「組織人」ほどSNSに投稿しにくい
もはや、旅行に行くことは“反社会的な行為”とみなされているようで、それをわざわざネットに公開することは非常識のそしりを免れない状態になっているのです。こうした空気感があるがために発生するのが「どこも行けないアピール」です。