全世代において将来の給付が削られ、保険料負担を増やされるのが、岸田文雄・首相の進める「令和の年金大改悪」だ。それに対抗するための戦略は、世代ごとに変わってくる。
政府は「厚生年金の適用拡大」を目論んでいるが、保険料を支払わなくても国民年金に加入しているものとして扱われる「第3号被保険者」の縮小が狙いだ。パート妻もどんどん厚生年金に加入するように網を広げられる。
パート妻はむしろ収入を増やして「厚生年金に積極的に加入していく」ことが対策になり得る。ファイナンシャルプランナーの清水斐氏が語る。
「厚生年金に加入しないで済む“年収106万円の壁”を越えない働き方は、もう限界に来ています。適用拡大の網を逃れようと収入が減るようにコントロールすることで、生活がままならなくなるという家庭も多い。パートで働く妻は仕事量を増やし、むしろ厚生年金の保険料をきちんと払って将来の年金を増やすという考え方に頭を切り換えたほうがいいでしょう」
60歳以降、パート妻が「106万円」の壁を気にせず厚生年金に加入して稼ぐのが賢いやり方といえるが、そのメリットは若い世代ほど大きくなる。前出の清水氏が説明する。
「40代や50代であれば、これから加入しても年金額は国民年金より十分に増えます。若い世代ならなおさらです。また、厚生年金と一緒に健康保険にも加入することになるから、妻が何か体の具合が悪くなった場合などは傷病手当が受けられるメリットもある」
月収10万円の人が厚生年金に1年加入すると年金額は年間約6000円上乗せされ、5年加入なら年3万円、10年加入すると年6万円増える。