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投資
資産4億円超・京大卒ヘムさんの投資術

資産4億円超・ヘムさんが語る「株価暴落時をチャンスと考える理由」 市場が合理的に動かなくなる瞬間を狙い撃ち、割安で放置された“お宝銘柄”を発掘する方法も解説

それでも存在する「割安な株」

 一方で効率的市場仮説が上手く機能しないエリアと時がある。そのエリアが「小型株」で、その時が「暴落時」だという。

「日本の株式市場では、参加者の8割以上を機関投資家などの『プロ』が占めている。つまり、マーケットの大部分はプロによって動かされていると言えます。しかし、小型株の世界は少し事情が異なる。小型株は時価総額が小さいため、プロの投資家たちにとっては売買がしにくいのです。

 巨額の運用資金で株を購入する機関投資家が小型株を買えば、それだけで株価を大きく押し上げてしまうし、売ってしまえば株価は大きく下がる。『高く買って安く売る』ということになりかねず、それでは利益を出せません。そのため機関投資家の多くは、小型株にはそもそも参入しないのです。

 その結果、小型株の世界にはプロは少なく、参加者の多くは個人投資家となっています。彼らはプロほどの知識や情報を持ち合わせていない。そのため小型株の世界では、株価が企業の本質的価値と乖離する『ミスプライス』が頻繁に起こります。そのような小型株市場の中から、割安で放置されている“お宝銘柄”を発掘するというのが私の投資手法です」

「狼狽売り」のタイミングがチャンス

「暴落時の買い向かい」もヘム氏の投資手法の柱のひとつだ。相場が急落する局面では、“売らざるを得ない”という状況になった投資家たちの「売り」が集中する。

 たとえば、個人投資家が追証(信用取引などで委託保証金の追加が求められること)に迫られて投げ売りをする、証券会社が強制決裁(ロスカット)を実行する、AIによる自動売買を活用するファンドがリスク管理の一環で機械的に売却を行なうなど、強制的な「売り」に到るにはさまざまな事情や要因がある。

「強制的な売りで株価が急落すると、それを目の当たりにした他の投資家たちも“今すぐ逃げなければ”という不安に駆られ、『狼狽売り』が連鎖的に広がっていく。この時、市場を支配しているのは理屈でも理性でもなく、“恐怖”と“本能”です。このような状況では、『効率的市場仮説』の前提である“市場参加者は合理的に判断する”という条件が完全に崩れる。このタイミングこそが、企業の本質的価値と株価が最も大きく乖離する瞬間であり、割安で買うチャンスなのです」

 上記の内容を整理すると、ヘム氏の投資手法は以下の3点が柱となっている。

【1】小型割安株のなかから本質的価値と株価に大きな差がある銘柄を探す。
【2】カタリストとして「増配」に着目する。
【3】暴落時に買い向かう。

 この投資手法を確立したことで、ヘム氏は長期にわたり資産を増やしてきたという。投資歴27年になる現在、392銘柄を保有しており、時価評価額は4.1億円(2025年3月31日現在)に達している。別記事『《億り人が選ぶトランプ関税の影響を受けにくい5銘柄》資産4億円超のヘムさんが厳選した東証スタンダード上場のお宝株、内需で稼ぐ小型割安株を狙い撃ち!』では、ヘム氏が現在、注目する5銘柄を紹介する。

【PROFILE】
ヘム/京都大学卒業後、総合商社に入社。社会人1年目より投資を始め投資歴は27年になる。30歳で脱サラをして起業。現在も2社を経営する投資家兼会社経営者。392銘柄保有中、投資時価4.1億円(2025年3月31日時点)。個別銘柄分析&ポートフォリオ構成銘柄&成績をXで公開したところ、アカウント開設後、1年半でフォロワーが3万人突破。データを重視した投資手法で、その再現性の高さから、投資初心者から玄人まで幅広い支持を得ている。近著に『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』(KADOKAWA)。

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