ただし、労働義務がなくても休憩時間は始業時間と終業時間の間ですから、所謂拘束時間として完全に自由であるとまではいえず、使用者が「事業場の規律保持上必要な制約を加えることは休憩の目的を害しない限り差し支えない」と解釈されています。その結果、休憩時間中でも事業所内における行動については、使用者の事業所等の管理権に基づく適法な規制に従う義務があることになります。
もっとも管理上の合理的な理由がないのに、不当な制約を課する場合は、管理権の濫用となります。
休憩室で本業かどうか別にして、セールスをするのは本人にとって格別不都合はないはずですが、疲労回復のために休憩している他の従業員からすると、多分に迷惑なことではないかと推察します。
他の従業員の休憩を妨げるような行為をしないように、店から注意してもらうのがよいと思います。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2025年6月20日号