先週は米国で注目される経済指標が複数発表されている。6月の輸入物価指数は前年同月比0.2%の低下となっている。関税発動後にも米国内では輸入価格が抑制されていることで、海外企業がコスト増を負担している状況といえよう。米国のインフレ抑制にはつながるものの、日本の輸出企業にとっては、収益の低下要因として意識されることになる。また、6月の小売売上高は前月比0.6%増となって市場予想を上回った。こちらも、関税後の製品値上げが限定的であることを意味し、それに伴って、過度な米個人消費の減退懸念は後退させることになろう。
今週は日米ともに大きなイベントは予定されていない。欧州中央銀行(ECB)理事会でも8会合ぶりの政策金利据え置きは確実視されており、株価材料にはつながりにくいだろう。こうした中、米国では4-6月期の決算発表が一段と本格化し、国内でも主要企業の決算発表がスタートしてくる。日経平均の方向感が乏しくなっている中でもあり、個別物色主体の相場展開となっていくことが想定される。国内では半導体関連企業の決算発表が注目されやすいが、極めて保守的とみられるガイダンスでディスコが急落した後だけに、決算へのハードルがやや下がってきていることはポジティブとも考えられる。その他の主力株では、米国の関税政策による収益性の低下度合いが注目されるところ。
米国でも、アルファベットをはじめ、株価指数の動きに影響を与えそうな企業の決算発表が予定されている。データセンター投資などの設備投資動向などにも注目が向かいそうだ。海外半導体関連企業の決算では、テキサス・インスツルメンツ、STマイクロ、インテルなどが発表予定。なお、輸入物価の上昇が見られずインフレ懸念が後退している中、好決算を発表した米国グロース株には期待感が高まりやすい情勢であるともいえよう。
今週にかけて、国内では24日に7月auじぶん銀行製造業PMI、25日に7月東京都区部消費者物価指数、6月企業向けサービス価格指数、6月東京地区百貨店売上高などが予定されている。
海外では、23日に米・6月中古住宅販売件数、24日に欧・ECB(欧州中央銀行)理事会、7月S&Pユーロ圏製造業PMI、7月S&Pユーロ圏サービス業PMI、米・7月S&Pグローバル製造業PMI、7月グローバルサービス業PMI、6月新築住宅販売件数、新規失業保険申請件数、25日に欧・6月マネーサプライ、独・7月Ifo景況感指数、米・6月耐久財受注などが予定されている。