*12:03JST ファブリカ Research Memo(3):SMSソリューショングループを主力に4セグメントでビジネスを展開(1)
■ファブリカホールディングス<4193>の事業概要
1. セグメント情報※
同社は、法人向けSMS配信プラットフォーム「メディアSMS」と、自動車販売業務支援システム「symphony(シンフォニー)」を主軸に、顧客の業務効率向上に資するサービスの提供に取り組んでいる。セグメントは、「SMSソリューショングループ」「U-CARソリューショングループ」「インターネットサービスグループ」「オートサービスグループ」の4つに分かれている。
※ 2026年3月期より、事業領域ごとの成長戦略を明確にするため、セグメント区分の見直しを実施。詳細は「今後の見通し」章を参照。
2. SMSソリューショングループ
「SMSソリューショングループ」は、子会社であるメディア4uが展開しており、法人向けのSMS配信サービスの提供をメイン事業としている。法人向けSMS配信サービスは、顧客である企業や自治体などに対しインターネットを通じてSMS配信機能を提供し、SMSの配信数に応じて課金する従量課金での売上が主な収益となっている。
最近では、電話(音声電話)の接続率が低くなっていること、ダイレクトメール(DM)や、封書・ハガキの開封率が低くなっていることもあり、SMSは企業や自治体とエンドユーザーを結ぶ強力なコンタクトツールとして市場認知が高まっている。SMSの利用用途は本人認証・業務連絡・督促・事前連絡など多岐にわたる。また、同社グループの配信数における本人認証の割合は約2割で、付加価値が高いとされる業務連絡・督促・事前通知で約7割を占め、国内法人市場において配信数はトップシェアを占め、なおかつ競合他社比で高い収益性が同社の強みとなっている。顧客それぞれのニーズに沿った導入支援・コンサルティングを含めたサービス体制によって、さらなる市場シェアの拡大を目指す。
コロナ禍において、自治体が新型コロナウイルス感染者への連絡手段としてSMSを活用する動きも見られた。自宅療養者への健康観察において保健所から全件電話で連絡していたものを、重症化のリスクがない療養者へはSMSなどで代替することで自治体の業務効率化に貢献した。同社は、自治体がコロナ禍においてSMS利用の実効性を得られたのを機に、アフターコロナにおいても定常的にほかの業務(徴税・健診勧奨など)への利用促進に努めている。日本におけるSMS送信サービス市場は配信数ベースで約37億7,000万通(2024年度時点)だが、同社によると2029年には約100億通の市場規模が見込まれており、年率24%以上の高成長が見込まれる市場である。国内における主要なサプライヤーも同社を含め4社寡占となっており、今後も業界のリーディングプレイヤーとして市場拡大の恩恵を最大限に享受できるだろう。
SMS配信サービスの強みは、ほぼすべての携帯電話にメッセージを配信できることである。SMS配信サービスを運営するにあたり、主要な携帯電話事業者((株)NTTドコモ、ソフトバンク<9434>、KDDI<9433>、楽天モバイル(株))と直接接続契約を締結しており、メディア4uでは顧客である企業や自治体から依頼された配信コンテンツを携帯電話事業者のSMS配信ルートを利用して、一般ユーザーに配信している。
「メディアSMS」では、主な携帯電話事業者と直接接続の契約を行い、専用インターフェースにつなぐ設計により高いサービス品質を実現している。機能面では「双方向サービス」「他人接続判定機能」「長文化SMS対応」「キャリア判定機能」「IVR(自動音声応答)連携」「決済サービス連携」などの多くの追加機能を持っており、「長文化SMS対応(SMSの文字数制限を最大670文字にする)」に早期から対応していたことにより、本人認証以外の用途での利用が多いことが同社の強みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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