*11:06JST tripla Research Memo(6):通期業績も大幅増収増益予想。中長期的な成長軌道に向けて確かな手応え
■tripla<5136>の今後の見通し
2025年10月期の通期業績は大幅な増収増益を見込んでいる。営業収益は2,770百万円(前期比48.3%増)の増収を計画しており、事業拡大とグループ会社の成長を背景とした着実な拡大が期待される。
営業利益については528百万円(同96.9%増)、経常利益は528百万円(同116.0%増)と、いずれも2倍近い増益を見込んでいる。コストを大幅に上回る営業収益獲得により、営業利益率は14.4%から19.1%へ、経常利益率も13.2%から19.1%へと、収益性の大幅な向上が見込まれる。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は403百万円となる見込みで、前期比193百万円(同92.5%増)の増益を計画している。純利益率も11.2%から14.6%へと上昇し、最終利益段階でも大幅な収益改善を見込んでいる。
以上により、同社は2025年10月期において、量的成長(営業収益拡大)と質的成長(利益率向上)を両立する好調な業績予想を掲げており、中長期的な成長軌道への確かな手応えを示している。
■中長期の成長戦略
中期経営計画では、CAGR32%の高成長で営業収益40億円超えを展望
同社は毎期、ローリングフォーキャストとして来期以降3期分の中期経営計画を発表している。直近では2025年10月期から2027年10月期を中期経営計画の期間と位置づけ、SaaS事業の成長加速とアジア圏での拠点展開によるグローバル展開の強化を柱として掲げている。
営業収益は、2024年10月期の1,867百万円を起点として、2027年10月期に4,297百万円の達成を目指す計画であり、年平均成長率(CAGR)約32%の高成長を想定している。また、営業利益については2024年10月期の270百万円から2027年には1,203百万円へと約4.5倍の増加を見込んでおり、営業利益率も14.5%から28.0%への改善を計画している。
これを実現するため、国内では既存サービスである「tripla Book」「tripla Bot」「tripla Connect」の深耕と顧客単価向上を進めるとともに、海外においてはM&Aを含む現地拠点の拡充により、契約先数を積み上げる。特に、インドネシア・台湾・シンガポール・タイ・香港における子会社を成長エンジンとし、現地ニーズに応じた機能開発と営業体制の最適化を通じて、アジア全域でのプレゼンスを拡大していく。
加えて、複数プロダクトを同一顧客に提供する「クロスセル戦略」を強化し、収益の最大化とLTV(顧客生涯価値)の向上を目指す。また、国内外のパートナーとの連携による販路拡大や、システム連携による導入障壁の低減も進め、成長を加速させる考えである。
■株主還元策
当面は成長機会を捕捉し利益成長で還元
同社は直近決算及び中期経営計画において配当による株主還元を予定していない。同社の提供するソリューションは急速にマーケットに受け入れられつつあり、かつ、グローバルに収益獲得機会が豊富にあると認識している。このため、当面はM&Aや人材獲得などの成長投資に資金を割り当て、利益成長により株主の期待に応えていく。とりわけ、M&Aについては鋭意注力中であり、アジアにおける新たな買収候補先は常時リストアップし、毎月数社以上の候補先と面談をしている。同社の次なる布石に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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