*07:34JST NYの視点:米利下げの行方、不透明に、コアPCEも上昇予想
米7月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.9%と、6月+0.0%から予想以上に加速し22年6月以降ほぼ3年ぶり最大の伸びとなった。前年比でも+3.3%と、6月+2.3%から予想以上に伸びが加速し、2月来で最高となった。燃料や食品を除いたコア指数は前月比+0.9%と、6月+0.0%から伸びが予想以上に加速し過去最高となった22年3月来で最高。前年比では+3.7%と、6月+2.6%から予想以上に加速し、3月来で最高となった。
7月コア消費者物価指数(CPI)に加え、PPIの上昇で、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げの行方は不透明となった。特にサービスインフレの上昇や関税が自動車価格に影響を与え始めている兆候は一部のタカ派金融当局者の懸念となっている。CPIやPPIに含まれる項目でコアPCEにも影響する金融サービス、保険コストは+1.2%。コアPCEデフレーターに11ベーシスポイントプラスに影響する。自動車や自動車部品は+0.2%。中古車は4カ月連続で下落したのち、上昇に転じ+0.5%。タイヤは関税の影響と見られ1%上昇した。関税の影響を直接受けやすい衣服、靴などは伸びが鈍化。消費者が価格に敏感となっていることや実質賃金の伸びが弱く企業の値上げを困難にしている。
関税の影響は鈍化もサービスのインフレ圧力がくすぶる。FRBがインフレ指標として特に注視しているコアPCEは前年比+2.9%と6月2.8%から加速が想定されているため、9月利下げを確実視するのは時期尚早との意見も見られる。
今年のFOMC投票権を有する米カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は経済や労働市場が強く、当面政策金利を据え置くことが適切との見解を示したほか、同じく投票権を有するグールズビー米シカゴ連銀総裁もサービスインフレ加速に警戒感を示した。ムサレム米セントルイス連銀総裁は0.5%利下げを支持しない姿勢を示した。今年のFOMC投票権を持たないが米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は9月の大幅利下げは適切でないとした。
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