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【注目トピックス 日本株】メタウォーター:安定した官需基盤と高収益海外事業の両輪で中長期成長へ

*13:48JST メタウォーター:安定した官需基盤と高収益海外事業の両輪で中長期成長へ
メタウォーター<9551>は、上下水処理設備などを手掛けるトータルソリューション企業で、設計・建設から運営・保守まで一貫対応する体制を強みとする。国内官公庁向け案件が売上の約8割を占める。機械技術を持つ日本ガイシと電気技術を持つ富士電機の水環境事業子会社の合併により誕生した企業であり、業界内では珍しく機械、電気の両分野を手掛ける総合力を有する。

事業は4つのセグメントで構成される。主力の環境エンジニアリング事業(機械系)は、浄水場・下水処理場・資源リサイクル施設向け機械設備の設計・建設・保守を行い、大型案件が順調に推移。足元、上下水道における公民連携事業(PPP)では、大型主要プロジェクト3〜4割に参画している。システムソリューション事業(電気系)は、上下水処理場向け電気設備の設計・製造・保守を行い、大型の工事案件が順調に推移したほか、補修・更新工事が好調。運営事業は長期契約に基づき安定収益を確保できるO&M(運転管理と保守点検)を担う。海外事業は人口増加や水インフラ整備需要が高い北米・欧州を中心に展開。アジア市場はコスト重視の傾向が強く、同社技術がオーバースペックとなるためODA案件に限定。一方で、シンガポールのように高度な技術を求める市場ではセラミック膜を導入し、付加価値を高める。国内の精緻な仕様を海外向けに合理化して適用し、高利益率を確保している。

2026年3月期第1四半期の売上高は330億円(前年同期比32.1%増)、営業損失は6億円と前年同期の20億円から赤字幅が縮小している。損益率の改善には北米・欧州子会社の好調が寄与した。官公庁からの大型案件が進捗し、自治体業務の民間委託化も追い風となっている。豊富な受注残高に加えて、受注環境も良好であり宮城県のコンセッションを始めとする豊富な実績をもとに売上高への貢献が見込まれる。

官公庁向けの国内公共事業が大半を占めていることから、売上の計上が第4四半期連結会計期間に著しく偏り、第1四半期連結累計期間の業績は低い水準となる傾向がある。2026年3月期通期の売上高は2,000億円(前期比11.7%増)、営業利益115億円(8.2%増)を見込む。

同社は、宮城県・日本下水道事業団と共同提案した「好気性グラニュールによるダウンサイジング可能な下水処理技術」が令和7年度AB-Crossプロジェクトに採択され、実規模実証を開始する。オランダのHaskoning社と国内独占的使用許諾契約を締結している技術を応用し、反応タンクの小型化や沈殿池不要化により建設・維持管理コスト削減、省エネ・CO2削減を実現。将来的な施設縮小にも柔軟に対応でき、耐震性・災害復旧性向上や水環境保全に寄与する見込み。

競合他社の多くは機械または電気のいずれかに特化しているのに対し、同社は両方を一貫して提供できる点が大きな強みである。設計段階からO&Mを意識した効率的な設備構築が可能であり、長期契約による安定収益と高利益率の海外案件の組み合わせで収益基盤を強化している。また、複数施設を統合管理する提案力や、主要な上下水道PPPプロジェクトの参画比率3~4割という高い実績が競争力を支えている。

「中期経営計画2027」では、2028年3月期までに売上高2,000億円超、営業利益130億円、ROE10%以上を目標に掲げる。売上高は過去10年間で約2倍、営業利益は100億円を超える水準に成長。現中計における売上高の数値目標については2026年3月期に前倒しで達成する見込みで、進捗次第で数値計画の見直しも視野に入れる。

株主還元は累進配当を継続し、2026年3月期は年間56円(中間28円、期末28円)を予定している。前期比6円の増配で、業績上振れ時にはさらなる増配や追加還元の可能性もある。

<HM>

fisco

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