*11:05JST 1stコーポ Research Memo(5):2025年5月期は売上高・利益ともに大幅増加。不動産事業がけん引
■ファーストコーポレーション<1430>の業績動向
1. 2025年5月期の業績概要
2025年5月期の連結業績は、売上高43,194百万円(前期比51.6%増)、営業利益2,579百万円(同77.5%増)、経常利益2,478百万円(同74.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,669百万円(同76.7%増)と大幅な増収増益となり、売上高・各利益ともに過去最高を更新した。好業績をけん引したのは不動産事業であり、同事業の売上高は同222.6%増の20,274百万円、セグメント利益(営業利益)は同113.1%増の2,187百万円と大幅増益となった。前期からの期ズレ案件を着実に売却したことに加えて、期初時点では想定していなかった東京都渋谷区の大型案件を売却したことなどが業績を押し上げた。また、共同事業での分譲マンションの販売が好調に推移したことも同事業の業績拡大に寄与した。一方、建設事業に関しては、売上高が同3.0%増の22,641百万円、セグメント利益(営業利益)は8.1%減の1,740百万円で着地した。
業務分類別に見ると、建設事業の業績は完成工事高が22,641百万円(前期比3.0%増)、完成工事総利益が1,809百万円(同7.4%減)となった。完成工事高は、前期からの施工中案件に加えて、新規案件が順調に着工したことで増収となった。2025年5月期中間期に完成工事高の着地見込みを上方修正していたが、さらに1,841百万円上回って着地した。これは、一部の建設案件が想定よりも進捗し、前倒しで売上計上したことによる。2025年5月期には、新たに東京都杉並区、東京都八王子市、東京都足立区、神奈川県海老名市、埼玉県朝霞市、神奈川県横浜市泉区及び南区、埼玉県熊谷市の案件を着工した。一方、利益面では、特に上期において建設コストの高騰により利益率が低下し、減益となった。ただし、下期にかけては受注金額に資材価格の高騰を反映したことや、利益率が高い造注方式の受注増加により、改善傾向が見られた。なお、2022年ごろから上昇し始めた資材価格は高止まりしているものの、足元では適正な利幅を確保できている。資材価格が上昇する前に受注していた案件は、2025年5月期でほぼ施工完了しており、今後は利益率の改善が見込まれる。
工事受注実績に関しては、8件で26,629百万円となった。件数は、前期比1件増で当初計画どおり、受注高は前期比27.5%増となり、計画比でも26.8%上回った。このうち、造注方式による受注金額は8,513百万円(受注高に占める造注方式の割合は32.0%)となり、通期計画の4,800百万円を77.4%上回った。東京都渋谷区の大型案件及び2026年5月期に予定していた案件が前倒しとなったことが寄与している。
不動産事業の業績は、不動産売上高が15,709百万円(前期比297.5%増)、不動産売上総利益は1,418百万円(同125.5%増)と売上高・利益ともに大きく増加した。前期からの期ズレ案件である東京都足立区の事業用地を着実に売却したことに加えて、北海道札幌市西区、東京都渋谷区、埼玉県熊谷市の事業用地を売却したことなどが寄与した。また、福岡県福岡市博多区の事業用地および自社開発の賃貸マンションを売却するなど、九州支店の実績が上がったことにも注目したい。不動産売上総利益率は、大型案件の売却が多かったため前期比6.9ポイント低下し、9.0%となった。
共同事業収入は、4,564百万円(前期比95.6%増)、共同事業収入総利益は1.117百万円(同165.5%増)と大きく伸長した。共同事業による分譲マンションの販売が好調であった。特に、群馬県前橋市の大型再開発案件が竣工、引き渡しとなったことが大きく寄与した。なお、神奈川県横浜市港北区の分譲マンションは2025年3月に完工し、6月に完売となった。共同事業収入総利益率は6.5ポイント増加し、24.5%となった。マンション購入者へも建築コストの価格転嫁が進んでいることが窺える。
なお、同社は、造注方式においては、土地販売から、工事・マンション分譲まで、トータルで適正な利益確保を目指している。工事及び分譲まで参画できるよう、土地販売自体の利幅は抑える方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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