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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】三機サービス Research Memo(8):新中期経営計画を公表、ビジョン2030達成に向け成長を加速(1)

*13:08JST 三機サービス Research Memo(8):新中期経営計画を公表、ビジョン2030達成に向け成長を加速(1)
■今後の見通し

2. 新中期経営計画の策定
三機サービス<6044>は2025年7月、2026年5月期~2028年5月期を対象とする新中期経営計画「中期経営計画2026-2028【人の三機】~『ビジョン2030』実現に向けた成長加速~」を策定した。2030年のあるべき姿を示した「ビジョン2030」では「安心・快適な空間のインフラを技術・データ・ITでプロデュース(クリエイト)する会社」の実現を目指している。新中期経営計画は、経営方針である「持続可能な成長と収益性のバランス確保」を前提に、現実的かつ意欲的な財務目標を策定し、「ビジョン2030」の実現に向けて成長加速期を支える。2025年5月期までの前中期経営計画は「ビジョン2030」実現に向けた収益基盤強化期にあたり、「品質×技術力の更なる向上」をテーマとして、重要技術の内製化や重点業種の生産性改善、環境事業の拡販、DX推進体制の整備に取り組み、売上高は年平均約20%の継続成長を達成した。営業利益は毎年平均75%超の継続成長、ROEは2025年5月期において15.3%を記録した。売上高、営業利益ともに最終年度の2025年5月期において過去最高と、定量目標をおおむね達成した。新中期経営計画では、「人の三機」をテーマとして、人的資本への積極的な投資を通じて人財価値の最大化と事業規模拡大の両立を図る。これらの達成により、2029年5月期~2030年5月期の成果収穫期において収益構造転換と企業価値の飛躍的向上を図る。新中期経営計画「中期経営計画2026-2028」はビジョン実現のための重要期間となると考えられる。

(1) 基本戦略
新中期経営計画では、内部及び外部環境を分析の上、各事業に関する機会とリスクを整理し、各事業の基本戦略を策定している。

1) 人財育成・教育の強化
人財育成・教育の強化を新中期経営計画の最重要戦略と位置付け、「人が育つことで、サービスが育ち、会社が成長する」という成長原則を前提に、人事戦略や人財活用策を進める。人事戦略として人員基盤をさらに強化し、企業価値向上につなげる。人財活用策では「育成・活用・定着」のサイクル循環によりサービス品質の向上を図る。人財育成では教育投資予算に年間1億円を投入するほか、専門部署新設による全社レベルの育成体制を整備する。人財活用ではタレントマネジメントシステム導入による適材適所の政策を進める。人財定着では職場環境の向上や、社員のエンゲージメント向上施策を展開する。

2) 事業規模の拡大強化
「地域展開」と「新規市場開拓」施策を展開する。トータルメンテンナンス事業、環境事業、医療事業の各分野において、地方中核都市の未開拓エリアを対象に地域展開することで新規顧客獲得を推進し、地方マーケットにおけるシェア拡大を目指す。内製化により多能工化したエンジニアを活用し、地域密着のサービス提供体制を構築することで、案件の利益率改善と安定した収益基盤の確立を実現する。保守人財については地方拠点への配属等、戦略的な対応を図る。トータルメンテナンス事業では、オフィスビル、倉庫等の大型施設を中心に新規顧客の発掘と獲得を進める。同社の強みとする、顧客のニーズに寄り添った提案を武器に、サービスエンジニア同行による質の高い提案活動を推進し、新規顧客獲得のみならず、既存の工事案件顧客に対してメンテナンスサービスをクロスセル・アップセルし、事業拡大につなげる。環境事業では、学校等の公共機関への三機型省エネソリューションの提案を推進する。医療事業では、大規模病院を中心に目標に掲げる20施設の新規顧客獲得を達成し、長期契約モデルを確立する。これら施策により、高収益基盤を獲得して収益のさらなる成長を目指す。

3) 提案営業力の高度化
新中期経営計画の策定にあたっての環境分析において、技術ノウハウの属人化やサービスエンジニアの偏り、デジタルツールによる業務最適化が進んでいないことが明らかになった。これらへの対応として、デジタルツールの活用と営業体制の整備を進める。前者では、顧客管理データ(CRM)と案件情報(SFA)を統合し、営業支援体制を再構築することで、効率的な営業活動と顧客への的確な提案を実現する。また、商談の進捗管理と予実差異分析の整備によりデータに基づく営業活動の評価と改善サイクルを確立し、営業力の継続的向上を図る。さらにサービスエンジニア同行営業で、社内の技術ノウハウを共有して専門的技術知識に裏付けられた説得力のある顧客提案を行い、受注率向上を図る。

4) DX推進による収益力向上
デジタル技術活用による業務効率化と顧客満足度向上の両立を目指す。具体的施策として、タブレット受付アプリの導入拡大、DX人財育成の推進、業務効率化ツールの全社展開を行う。タブレット受付アプリは顧客接点強化の中核ツールで、2025年5月期に1,000店舗を目標に導入を進めたが、実績は500店舗にとどまったことから、顧客の利用実態を踏まえた機能追加を行い継続的な導入拡大を目指す。DX人財育成の推進では、2026年5月期よりDXリテラシー研修を開始しており、外部教育ツール活用による基礎から応用まで網羅した教育を進めている。全社員対象の公募制で、有望なDX人財を数多く育成する機会を創出している。業務効率化ツールについては、RPA※や施工現場向け業務デジタルツール等を全社展開し定型業務を自動化し、付加価値の高い業務に人財を集中させる。これらの施策で販管費を抑制し、業務効率化と顧客満足度及び顧客単価の向上を両立させ、収益性改善につなげる。

※ Robotic Process Automationの略で、ロボットによるプロセスの自動化を意味する。

5) 資本効率重視の経営の実現
株主期待に応える収益力の確立に向け、株主資本コストを超えるリターンを安定的に上げる「資本効率」を戦略の中核に据え、ROE15%を目安に収益力の確立を目指す。株主資本コストは過去3年で最大7.2%と試算され、2025年5月期のROEが15.3%であることから、現状は健全な水準と考えられる。収益力強化のため、人財教育投資に5億円、その他の成長投資に10億円を計画する。人財教育投資は研修施設や研修機会の充実、新規採用、報酬水準の向上を実施し、その他成長投資はM&A、DX推進、設備投資に振り向ける。株主還元については9億円のキャッシュ・アウトで、配当性向30%、DOE(株主資本配当率)3.0%を計画する。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)

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