中国の成長戦略の後押しを受ける企業は(CATLはEV用バッテリー世界最大手。Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。関連記事【《AI相場でNYダウは最高値》米中で進むデータセンター投資競争 エヌビディアは同事業で56%増収、中国でもアリババ・テンセントの投資が急拡大】を踏まえて、AI関連の中国政府の成長戦略、ならびに注目の中国株個別銘柄について解説する。
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米国ではハイパースケーラーによるデータセンター投資の急拡大が続いている。電力需要の拡大を見越し、発電所建設が加速、重要部品となるガスタービンの需給が逼迫しているようだ。グローバルシェアの高いGEベルノバ、シーメンス、三菱重工では2028年まで受注残があるような状態で、東方電気、上海電気といった中国メーカーへの発注も期待される。
中国でも今年1月、DeepSeekの登場をきっかけに、アリババグループを始め大手企業からベンチャー企業まで数社の企業がLLM、マルチモーダルAIについて、低価格、オープン化による提供を開始、AIの社会実装が急速に進んでおり、それに伴いAI開発企業、クラウド事業者によるデータセンター投資が拡大している。中国電力市場では国策により、太陽光、風力発電といったクリーン電力への積極投資が続き、電力供給力には比較的余裕があったものの、今後は需給がひっ迫しかねない状況となっている。中国信通院によれば、2024~2030年における中国データセンターにおける電力需要の年平均伸び率は10.4~27.1%に達するといった予想もある。