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【注目トピックス 日本株】Retty:解約率改善と直販強化で黒字化へ、データ活用で次成長段階に挑む

*13:13JST Retty:解約率改善と直販強化で黒字化へ、データ活用で次成長段階に挑む
Retty<7356>は2010年創業の実名型グルメプラットフォームを運営する企業である。特徴はユーザーによる点数評価を廃し、信頼できる知人や実名ユーザーの口コミをもとに飲食店を探せる仕組みにあり、外食ユーザーに「人を通じてお店を見つける」体験を提供している。事業モデルは飲食店からの月額利用料や従量課金による送客手数料を柱とする飲食店支援サービスに加え、多様な企業・団体向けの広告コンテンツ収益、蓄積した飲食店データを活用したデータ提供収益から成る。2025年9月期第3四半期(累計)の売上高は1,227百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は0百万円(前年同期は92百万円の赤字)と黒字転換目前まで改善し、収益基盤の強化が進んでいる。

同社の強みは、第一に「実名型・非点数評価型」という独自設計にある。匿名や数値評価に依存する他のグルメサービスと異なり、信頼性の高い口コミデータを蓄積できる点は長期的なブランド価値を形成している。第二に、10年以上にわたり蓄積してきた飲食店データとユーザー行動履歴である。こうしたデータ資産は飲食店や広告主にとって高付加価値を持ち、将来的な収益機会の拡大につながる。第三に、飲食店との継続的な関係構築である。利用店舗数を拡大する過程で積み上げた営業ノウハウや信頼関係は、解約率改善やLTV向上の基盤となっている。

2025年9月期第3四半期のみ(4-6月期)の売上高は379百万円(前年同期比4.8%増)となり、営業損益は18百万円の赤字となった。これは広告売上の期ずれや採用費・販促費など一時的コストの増加によるものである。累計では営業利益は損益均衡に達し、前年同期の営業損失45百万円から大幅に改善した。通期予想は売上高1,698百万円(前期比8.7%増)、営業利益29百万円を据え置いている。第3四半期までの進捗率は売上72%で、営業利益は0百万円ながら販管費削減効果や直販チャネルの拡大が寄与しており、下期に広告収益や従量課金収益が積み上がれば上振れの可能性もある。市場環境は外食支出の回復やインバウンド需要増を背景に追い風が続き、飲食店の販促・送客ニーズは一段と高まっている。

同社は中長期的な成長戦略として、データ活用とAIによる個別最適化を掲げている。ユーザーが自分に最適な飲食店を見つけられる仕組みを提供することで、単なる予約送客を超えた高付加価値サービスへの進化を目指す。飲食店側にとっても「顧客の数を増やすソリューション」から「店舗に最適な顧客を増やすソリューション」への転換を促すことで、継続率とARPUの向上につなげていく。営業面では代理店依存から脱却し直販を強化しバランスを最適化することで収益性が改善しており、この点も中期的な競争優位の確立に寄与している。

株主還元については、現状では成長投資を優先しているため配当は実施しておらず、通期予想も無配である。ただし将来的には市場から求められる成長率を回復させ、利益拡大を前提に安定的な株主還元を目指す方針を示している。同社は固定費削減と収益構造の改善を進め、黒字化が視野に入った今期を転換点と位置付けており、将来的な還元余地を持つといえる。

総じて、同社は独自の口コミ基盤とデータ資産、飲食店ネットワークを強みに、収益性改善と成長戦略を両立させつつある。市場環境の追い風を背景に、黒字化と持続的成長の実現に注目していきたい。

<HM>

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