医薬品を国外へ販売するには煩雑な手続きが必要だが…(写真:イメージマート)
日本の薬局やドラッグストアが中国人に買収される事例が増えている。それに伴って日本の医薬品が不正に中国などに流出している疑惑が取り沙汰されているという。その現状をライターの廣瀬大介氏がレポートする。【全3回の第1回】
日本の薬は“神薬”として高い人気
〈大阪の薬局譲ります・薬剤師在籍・各種設備完備〉(中国語の日本語訳)
小紅書(中国版インスタグラム)や、ウィーチャット(中国版LINE)の招待制グループチャットでは、日本国内の薬局に関するこんな売買情報が数多く投稿されている。
在日中国人の間では今、薬局やドラッグストアの経営が注目を集めているのだという薬剤師の長澤育弘氏が薬局の開業方法について解説する。
「まずは薬剤師の雇用と物件契約が必要です。また保健所には事前相談し、その物件で許可がもらえるか確認します。一般の方の出入りが難しい場所や、医療機関の店舗らしくないオフィスビルの奥の一室のような場所だとまず許可は出ません。採光や換気などの基準も満たす必要があります。物件の工事を経て営業ができる状態にしたうえで、保健所へ連絡し実地調査が行なわれます。その調査後、1週間~10日くらいで許可が出る」
外国人がこの手順に沿ってゼロから開業するのは手間が大きい。それが“買収”なら店舗用の物件や薬剤師を探さずに済み、手間を大幅に省けるわけだ。
別の薬剤師はこう話す。
「中国では過去に偽造医薬品が流通する事件があったくらいで、薬の品質に難がある。そうしたなか日本の医薬品は“神薬”と呼ばれ人気が高い。日本の医薬品の爆買いが話題でしたが、その次の段階として日本の薬局そのものが狙われています。
外国人が薬局を経営すること自体は問題ありませんが、日本の医薬品が不正に中国などに流出している疑惑が指摘されているのです」
国内の薬局店舗数は増加が続いている一方で、競争の激化により中小の薬局では倒産件数の増加、後継者不足による事業継承の問題が生じている。そうした経営難の薬局を中国人が狙う構図がありそうだ。