9月19日、日銀政策決定会合に出席する日銀・植田和男総裁(写真:時事通信フォト)
9月の日銀金融政策決定会合では、政策金利の据え置きとともにETF(上場投資信託)売却開始が打ち出され、市場にサプライズを与えた。発表直後には日本株が急落する場面もあったが、その後マーケットは落ち着きを見せた。では、今回の決定は今後の相場にどう影響していくのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが解説する。
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9月の日銀金融政策決定会合では、サプライズがありました。政策金利は予想通り据え置きとなったものの、2人の審議委員が反対票を投じ、利上げを提案したのです。さらに、日銀が現在保有しているETFの売却を決定しました。この発表を受け、日本株は同日の後場に急落。果たしてこの政策はどのような影響を及ぼすのでしょうか。今回はETF売却に焦点を当てて解説します。
日銀はなぜETFを購入してきたのか?
ETF購入の歴史は2010年の白川方明総裁時代にさかのぼります。当時は資産デフレ対策や物価安定目標2%の達成を目的として導入されました。その後、2013年に黒田東彦総裁が就任すると「異次元緩和」と呼ばれる政策の一環として大幅に拡大。2016年には年間最大6兆円の買い入れにまで膨らみました。
その結果、日銀は日本株の約7%を間接的に保有するまでに至り、「官製相場」との批判や副作用への懸念が市場に残っていました。そして今回の会合で、ついに売却へと舵を切ることになったのです。
当然、日本株の売却は下落圧力を伴います。そのため初期反応として株価は下落しましたが、実際の影響はどうなのでしょうか。