ブレーキが作動せずコンクリ壁に激突したEVバス(大阪メトロ提供)
環境に優しい次代の乗り物として期待され、すでに公道を走る電気自動車(EV)バスに故障が続発している。そのバスは、北九州市に本社を構える新興企業、EVモーターズ・ジャパン(以下、EVMJ)が販売したもので、大阪・関西万博では150台が導入されている。EVMJは“国産EVバス”を謳い文句に全国の自治体や企業に売り込んできたが、その実態は中国メーカーが製造したものであり、相次ぐ不具合を受け、国土交通省も立ち入り検査に踏み込んだ。いち早く問題を追及し、関係者の証言を集めてきた自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏がレポートする。【第2回】
日本有数の大企業から80億円を調達
2019年に北九州市で設立された新興企業であるEVMJは、万博バスに内定した当初、「国内で最終組み立てを行なう国産EVバス」として盛んにアピールを続けていた。この分野で目立った競合相手はなく、自動車メディアや経済誌もこぞって国産EVバスメーカーとして取り上げた。
社長の佐藤裕之氏は「九州の優秀企業家」として知られるようになり、経済誌で「低電力化で世界最高水準の実力」を持つEVバスを世に送り出す企業などと紹介された。「万博で日本初の量産EVバスが使われる」との期待は大きく膨らんだ。
注目の新興企業となれば、企業や金融機関も放っておかない。同社がこれまで出資者から調達した合計金額は80億円を超えている。
その出資者には、住友商事、第一交通産業、NTTドコモ、関西電力グループ、四国電力グループ、みずほリース、三菱UFJ信託銀行といった日本有数の大企業が名を連ねている。
政府も後押しした。
中小企業、ベンチャー企業を支援する経産省傘下の独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、EVMJが計10行の金融機関から借入調達した50億円の2分の1を保証する契約を締結。2024年9月に出されたプレスリリースでは、EVMJをこう持ち上げた。
「EVモーターズ・ジャパンは、高いレベルの省電力とバッテリーの長寿命化を実現する独自システム『アクティブ・インバータ』等の技術をもとに、バスをはじめとする商用EVの開発や販売事業等に取り組んでいます。これまで海外からの輸入が主流であった商用EVの国産化を目指し、商用EVの最終組み立て工場『ゼロエミッション e-PARK』の建設を進めています。
(中略)同社の事業は、次世代に求められる高性能の国産商用EVを提供するものとして多くの需要が期待されます。中小機構は、同社の更なる事業の発展を応援します」
しかし、関係者の情報から浮かび上がる姿は全く異なるものだ。
