小学生の学力低下の背景には何があるのか(イメージ)
小中学生の学力低下がささやかれている。直近の学力調査でも小中学生ともにそれを裏付けるような結果が出ている。その背景をどう分析するか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の前編】
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小中学生の学力低下が深刻な問題になっている。文部科学省による「2024年度経年変化分析調査」では、小学6年と中学3年の全教科で前回調査からスコアが低下した。特に国語の記述式問題で平均正答率が3割未満、無解答も多かった。
この要因として「コロナ禍の影響」「スマートフォンの使用時間が長くなっている」「成績が高いことにこだわらない保護者が増えている」といった報道がされた。なぜ、このような報道がされたかというと、文部科学省のリリースで、学力低下の要因として考えられるものとして、スマートフォンの使用時間や親の意識の変化のデータを載せていたからだ。
しかし、日々、塾や学校などの現場を取材している立場からすると、違う要因が見えてくる。学校の教師も塾の講師もみな口を揃えてこういうのだ。
「2020年からの教育指導要領で探究学習や協働的な学習(グループワーク)を重視するようになって以来、知識や技能を伝える時間が少なくなり、基礎学力が身につかない児童が増えています。指導要領に従えば従うほど、塾に通えない子どもたちの学力は下がっていきます」(個別指導塾関係者)
「中学受験をする子たちは塾で知識や技能を身につけているため、グループワークでその知識や技能をもとに思考したり、アウトプットしたりしてさらに伸びていきます。一方で、塾に通っていない子たちの中には、基礎的な知識や技能がなく、グループワークで“お客さん”になってしまっている子もいます。学力差がどんどん広がっていて指導がしにくい」(公立小学校教師)
これを裏付けるように、2025年8月1日、阿部俊子文科大臣(当時)は記者会見で、「学力の低下に加えて社会経済的背景の低い層の方が、スコア低下が大きい状況」について言及している。
考えてほしいが、2016年と2021年の調査を比較すると学力に大きな差はなかった。それが、なぜ2024年の調査でここまで大きく落ちたのか。
その原因について現場では、2020年度の教育指導要領改訂にあるのではないか、という分析をしているわけだ。今回は学校で取り入れられている協働的な学習(グループワーク)の問題点について言及していきたい。
