小田急線・京王線・東急田園都市線──。いずれも都西部を走る“ブランド路線”だ。都心部と住宅街エリアを結び、住みたい沿線ランキングの常連でもある。小田急線は「新宿」から神奈川方面へと走り、「成城学園前」や「経堂」など閑静な住宅地を抱える。京王線は「新宿」と多摩エリアを結び、井の頭線を含めれば「渋谷」や「吉祥寺」にもつながる。田園都市線は「三軒茶屋」や「二子玉川」など、都内屈指の人気エリアを擁する。この3沿線において、今後10年で不動産価格が「上がる駅」はどこになるのか――。
東京都の不動産価格は上昇を続けており、9月16日に公表された2025年の都内の基準地価は全用途平均で前年比7.7%の上昇。13年連続のプラスとなった。商業地が11.2%上昇し、マンション需要などを追い風に住宅地も5.6%伸びている。
ただ、都心部が不動産バブルだとも囁かれるなか、今後は“明暗”が分かれていくことになりだ。数年のうちに都内の人口もピークを迎え、その後は減少に転じていくと考えられている。
そうした将来の変化を駅ごとに可視化したのが、不動産コンサルタント会社リーウェイズだ。同社は5億件超の物件データをもとに不動産市場をAIで分析。さらに、国土技術政策総合研究所の『将来人口・世帯予測ツール』(2024年公表)を活用し、2025年から2035年までの人口増減を予測した。東京のベスト200、ワースト200駅が抽出され、その結果は不動産価格の変化に密接に結びつくものだとされる。
今回は同ランキングから、23区西部を走る小田急線、京王線、東急田園都市線の駅を抽出。この3沿線(京王井の頭線、東急世田谷線を含む)で人口増が予測されるベスト200に入ったのは13駅あったが、そこには意外な駅が含まれ、定番の人気駅がランク外となる予想外の結果となった。「人口増減は不動産価格に直結する重要な要素」だとする不動産市場の動向に詳しい株式会社さくら事務所取締役副社長COOの山本直彌氏とともに、データを読み解いていく。