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【注目トピックス 日本株】PILLAR:創業101年目の老舗企業、半導体洗浄装置向けで世界シェア9割超

*14:52JST PILLAR:創業101年目の老舗企業、半導体洗浄装置向けで世界シェア9割超
PILLAR(ピラー)<6490>は、1924年に創業し、現在は東証プライム市場に上場している。2024年に創業100周年を迎え、日本ピラー工業から社名変更した。「“社会を支える”未来を創る」をパーパスに掲げ、「流体の漏れを制御する技術」を基盤として独自の製品やサービスを提供している。電子機器関連事業と産業機器関連事業の2つに大別され、売上高構成比は、電子機器関連事業が約7割、産業機器関連事業が約3割である。海外売上比率は間接輸出も含めると6割超に達している。
電子機器関連事業は、フッ素樹脂製品「ピラフロン」を展開し、主に半導体製造装置向けの継手・ポンプ・チューブ・バルブに用いられている。洗浄装置では、硫酸や塩酸などの劇薬が高温で使用されるため、漏れが許されない高い耐薬品性・耐熱性が求められる。国内外の大手半導体製造装置メーカーを顧客に持ち、洗浄装置向け樹脂継手で世界シェア90%以上を確保している。半導体分野は、市況に影響を受けやすいが、半導体の高性能化に伴い、新しい製造装置の導入が進む特徴がある。産業機器関連事業はメカニカルシール、グランドパッキン、ガスケットを中心に、石油精製・化学プラントや発電所などへ展開する。設備の定期的なメンテナンス需要があり、同事業の売上の約6割を占めることから安定収益を支える。2023年には同業のタンケンシールセーコウを買収した。メンテナンスに強みがあり、得意分野の住み分けがあることから、シナジー効果が期待されている。

2025年3月期は、売上高57,988百万円(前期比1.1%減)、営業利益11,335百万円(同20.2%減)、経常利益11,474百万円(同24.0%減)、当期純利益8,299百万円(同23.0%減)であった。売上高は産業機器関連事業が堅調に推移した。一方、電子機器関連事業では半導体市況の影響を受け減収となり、全体では減収となった。利益面では、販売先の在庫調整の影響による設備稼働率低下に加え、設備投資による償却負担や人件費、研究開発費の増加を吸収しきれず、減益となった。自己資本比率は75%を超え、財務基盤は盤石である。
2026年3月期第1四半期は、売上高13,499百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益2,705百万円(同8.4%増)、経常利益2,765百万円(同5.4%減)、四半期純利益1,977百万円(同0.7%増)であった。電子機器関連事業は海外向けが堅調に推移し、産業機器関連事業はメカニカルシールが好調で増収となった。営業利益は、中国・欧州向け商流における価格改定の効果や、前期に計上していたスポット費用の反動が寄与し増益となった。一方、経常利益と四半期純利益は、前期に計上した円安進行による為替差益が、今期は円高による差損に転じたことで、減益となった。
2026年3月期通期予想は、売上高57,500百万円(前期比0.8%減)、営業利益10,300百万円(同9.1%減)、経常利益10,300百万円(同10.2%減)、当期純利益7,200百万円(同13.2%減)を見込んでいる。電子機器関連事業では、半導体の需要回復遅れにより減収減益を予想する。一方、産業機器関連事業では、ロータリージョイントの販売伸長や海外大口補修案件の獲得を見込み、増収増益を予想している。

2026年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「One2025」では、半導体市場の市況回復の遅れを背景に、当初の売上高及び営業利益目標を下方修正したものの、ROE10%以上は達成する見通しである。事業施策として「コア事業の進化」「グローバル競争力の強化」「新規事業基盤の創造」を掲げる。コア事業の進化では主力の福知山第一・第二工場の設備投資を積極的にす進め、半導体市場向け製品の提供力を強化した。グローバル競争力の強化では、中国工場の生産体制を整備し、中国市場での販路拡大を推進している。新規事業基盤の創造では、環境貢献型商品の開発に取り組み、販売拡大を進めている。
今後の成長戦略としては、タンケンシールセーコウとのシナジー最大化や中国市場での拡大を重点とし、来年度からの次期中期経営計画につなげていく方針である。

株主還元については、安定的かつ継続的な配当を基本とし配当性向30%以上を目標としている。2025年3月期の年間配当金は125円(配当性向35.1%)を実施し、2026年3月期は年間105円(同34.0%)を予定している(前期比20円減配)。また、2025年5月に自己株式取得枠20億円を設定し、8月末時点で約12億円取得済である。さらに、IR活動を強化し、株主との対話に注力している。

<HM>

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